番外編 さん兄ちゃんが書きたかっただけです・・・
「私の望みはひとつだけ」を読むと「あー」となるかもしれませんし、ならないかもしれません
心地良い風とさわさわと木や草が揺れる音が聞こえる
まだ、しっかり覚めていない頭でどうやら自分は眠ってしまっていたのだとぼんやり考えていると、胸の上に違和感を感じた
「重い・・・」
思わず呟くと音もなくふわりと空気が動いてすっと軽くなった、吸い込んだ空気から甘い匂いがした
「ん、レイ?」
「えっ!?」
名前を呼ぶと、小さく驚いた声が聞こえた
聞こえた声に顔がにやけそうになるのを堪えながら目を開けると、両手で口を押えているレイと目が合った
「おはよう、レイ」
ぱっと口から両手を離したレイが目を泳がせながら答える
「お、おはよう」
名前を呼ばれなかったことに僅かに苛立つと、何かを察知したレイが後ずさった
ニッコリ笑いながらレイを見るとふわりと頬を染めて動きを止めた
逃げなくなったレイの頬をそっと撫でた手で、自分の服の飾りボタンを指差して更にニッコリ笑いかける
「どうしたの、そこについているのはコレの痕かな?」
ハッとしたレイが真っ赤になり、慌てて手で頬を押さえた
緩みそうになる口元を何とか引き締め、軽く首を傾げて話しかける
「なーんて冗談だけど、ん?どうしたの、レイ?」
「えっ!」
しっかり視線を合わせて名前を強調するように呼び掛けてから、ニッコリ笑いかけた
「ん?」
「冗談と言うことは、・・・うううぅぅ・・・」
ぼんやりとこちらを見返すレイに話しかけると、くっついて寝ていたことがばれてしまっていることに気付いたレイの声が段々と小さくなっていき最後は唸りながら俯いてしまった
俯いたレイの顔を覆う髪の隙間から赤くなっている耳を見つけると、心がじんわり温かくなった
「ねぇ、レイ、一緒に日向ぼっこしようか」
「うん!」
レイがパッと顔を上げて微笑んだ
「レイは本当にお日様の匂いが好きだね」
ウキウキと広げ終えたシートにころりと寝転ぶレイに話しかけると不思議そうな顔をした
「あのね、エルと日向ぼっこしないとお日様の匂いがしないんだよ」
「え?」
思わず聞き返すと無造作に投げ出していた自分の腕に顔を寄せて匂いを嗅いだレイが、こちらに向かって勢いを付けて転がって来た
慌てて抱き留めると、ぼんやり呟いて微笑んだ
「うん、やっぱりエルは凄くお日様の匂いがするね・・・」
「なっ!?」
そしてそのまま眠ってしまった
「はやっ・・・」
エルは、腕の上で気持ち良さそうに眠っているレイを幸せそうに見つめていたが、心地よい日差しとそよ風に再び目を閉じた
そのころリビングから庭の方向を凝視しながらイライラしているアズールを、ランが微笑みながら見ていた
「まだ早い、嫁には出さんぞ!」
「あらあら、早いかしら?」
「もちろんだ!」
「でも、・・・」
不機嫌な顔のまま窓ガラス越しにランと会話していたアズールだったが、言いよどんだランが俯いたのに気づくと振り返ってランに近づいた
「どうした?」
アズールが問いかけると、ランが顔を上げた
「でも、私が・・・」
「うん、なんだい?」
「私がもっと早く、あの子たちのような時に貴方に会っていたとしたら、早いなんて思わなかったと思うわ」
「ラン///」
恥ずかしそうに自分を見上げているランをアズールが抱きしめた
「父さん、僕たちがいるのを忘れていませんか?」
「いや、忘れてないぞ」
「なら、いいんですが、」
呆れたような顔をしたジヴィと目が合うと、アズールがニヤリと笑った
「お前もすれば細かいことが気にならなくなるぞ?」
「遠慮しておきます」
キッパリ言い返したジヴィが、ローザに頭を撫でられながら羨ましそうに祖母を見上げている息子をひょいと抱き上げた
腕の中にいる目を見開いた息子をジヴィが見下ろした
「ファイ、重くなったな」
「お、降ろして下さい!?」
ジヴィの袖をしっかり握りしめながら顔をしかめる息子を、軽々と片手で抱き上げながらジヴィが笑った
「ちゃんと、しがみついてないと危ないぞ?」
ジヴィが自分に押し付ける様に片手で頭を撫でると、ファイがしがみついて来た
「ごめんな、最近忙しかったんだ」
「うぅ、大丈夫・・・ぁ」
ジヴィが目元を薄っすら赤くしたファイをそっと降ろすと、ファイがドアをジッと見た
「あぁ、そろそろか」
「何がですか?」
ファイの頭を撫ぜながらジヴィがアズールに問いかけた
「セールに打ち合わせついでに、子供たちも連れておいでと言っておいたんだ」
「男の子と女の子の双子でしたっけ?」
「ああ」
アズールの声にかぶるように元気な声と焦った声が聞こえてきた
「「レイー、ファイーー!!」」
「待て!走るな!止まれ!」
勢いよく開いたドアから入ってきた2人は部屋を見回して不思議そうに首を傾げた
「「あれ?レイ、いない」」
ファイが握りしめていたジヴィの服の裾をパッと離した
「レイはエルと一緒だよ」
アズールが答えると、2人が頬を膨らませた
「「えーー、つまらない!、痛ぃ!!」」
追いついたセールが2人の頭を軽く叩いた
「ハイン、リリー、挨拶は?」
「「ごめんなさい」」
セールに素直に謝った2人がペコリと頭を下げた
「「お久しぶりです、こんにちは!」」
その頃、ベルデはソファーに座りながら不安そうにため息をついていた
「どうしたんだい?」
リュイがカップを机に置いて、そっと距離を詰めた
「あの子、マイペースだから迷惑かけてないか心配で・・・」
「エルなら大丈夫だよ、それに、レイが一緒だからね」
「ならいいけれど・・・」
まだ不安そうなベルデにリュイは更に距離を詰めた
そっと肩に持たれて来たベルデを抱き寄せようとリュイが手を伸ばしたが、短く呻いて手を引っ込めた
持たれたままのベルデの耳が赤くなっているのを見て、リュイが微笑んだ
「父さん、ピンヒールで踏まれても嬉しそうなのは、ちょっと理解出来そうにありません」
「クラース、気を抜いていて鳩尾に肘が入っても嬉しそうだったのも、苦しいな?」
リュイの言葉に、ニヴィが赤くなって頬を押さえた
「あれは///」
その時のことを思い出しているニヴィを見てクラースが微笑んだ
<(_ _)>
読んで下さってありがとうございました
ちなみに、この話で締めとなります
続きません! (^◇^)アハッ♪




