第七十九話 ジヴィとクラースとセールとニヴィとローザ
「ああ、仕方ないな」
外を見てまるでそうなって当然だと言わんばかりのクラースの口調に、ジヴィが可哀想なものを見るような顔をしてクラースを見た
「お前、自分のこと以外だとよく見てるよな」
「自分のことも大丈夫だ!」
ジヴィがため息をはき、ニヴィが目をそらした
「兄さん・・・」
ローザに残念なものをみるような目で見られたクラースがショックを受けて項垂れた
「それにしても、あれは無意識なのか?」
ジヴィはそう言うと、周囲に気を配りながらさり気なくゆっくりとこちらに向ってくるセールと、セールの背中をじっと見つめて距離を取りながら後を追っているシンザを交互に指差した
「ジヴィは一緒にとは言ってないんだろう?」
「ああ」
「なら、無意識なんだと思うよ」
「まあ、一緒でも別に構わないけど」
シンザの気配だけに気付かないセールと、セールだけを見ているシンザにジヴィが不思議な顔をする
「兄さんがまともに見える・・・」
きりっとした顔してジヴィと話していたクラースを見たローザが呟き、慌てて口元を手で覆った
「ローザ!!」
「クラース、どこか具合でも悪いの?大丈夫?」
ニヴィが心配そうにクラースの顔を見上げた
「っ、ニヴィまで!?」
ニヴィに見上げられて一瞬照れながらもクラースが情けない声を上げる
ぽんと肩を叩かれて顔を向けると、悲しそうな顔をしたジヴィが言った
「何も言ってやれなくてすまない、クラース」
「お前もか!!」
クラースが周囲を気にしながらも短く叫んだ
「何か騒がしいな、どうした?」
こちらに声をかけながらセールがガゼボに入って来た
「いえ、何でもありません」
ジヴィとクラースがベンチから立ち上がってセールを出迎えた
「セールさん、ありがとうございます」
「いや、こっちこそ良い宣伝になったよ、ありがとな」
セールが朗らかに笑うと、背後で息をのむ音が聞こえてジヴィとクラースが振り返る
「ニヴィ・・・、頬が赤いよ?」
クラースが沈んだ声でニヴィを呼ぶ
「ローザ、何で赤くなっているのかな?」
ジヴィが満面の笑みを浮かべてローザを呼ぶ
クラースとジヴィそれぞれに呼ばれて、ニヴィとローザが気まずそうに目を泳がせた
「おいおい、子供じゃないんだから小さいことに目くじら立てるんじゃない」
不貞腐れた顔をしてこちらに向き直ったジヴィを見てセールが吹き出した
「お前にも年相応なところがあるんだな」
セールはジヴィの頭に手を乗せると思い切り撫でまわした
「ジヴィ、俺は安心したよ」
いつの間にか立ち直っていたクラースに肩をぽんと叩かれたジヴィが手で髪を整えながら無言で顔をしかめた
ローザがそっとジヴィに歩み寄ると、髪を直すのを手伝った
「ローザ、セールさんが指輪を作ってくれたんだよ?」
ジヴィがローザの手を取って指輪を眺めながら説明する
「ローザといいます、セールさん、大切にします」
「ああ」
「セールさん、ありがとうございます」
「よかったな、ニヴィ」
ニヴィを見たセールがにやりと笑った
「それにしても、確か「受け取ってあげないなんて酷い人もいるのね、可愛そう・・・」と言っていたニヴィが受け取らない張本人だったなんてな!」
くすくす笑うセールにニヴィがぽかんと首を傾けた
笑いを収めたセールが、ジヴィとクラースの頭に手を乗せると思い切り撫でまわした
「良かったなお前ら」
セールに頭を撫でられて少し誇らしそうなジヴィとクラースを見たローザとニヴィが、顔を見合わせて笑い合った




