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大切な人たちとの日々  作者: MIK
溢れる思い
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第七十二話 クラースとセール

クラースが店に入ると入口のドアに付けられているベルの音が店内に響いた

いつもならカウンターにいるはずの人を探して店内を見渡していると、珍しい声が聞こえた

「いらっしゃい」

声のした方を見るとカウンターの隣にある部屋のドアからセールが顔を出していた

クラースを見て、ちょっと待ってろと言うと顔を引っ込めてドアを閉めた

そんな対応に慣れているクラースは久し振りに訪れた店内を見渡す

すぐに部屋から出て来たセールがクラースに話しかける

「待たせてすまない、シンザが出かけていてな」

「セールさん、お久しぶりです」

「さんはいらないっていってるだろう?」

所々跳ねている灰色の髪をがしがしかきながら、にやりと笑ったセールにクラースが真面目な顔で答える

「いえ、それは出来ません」

「・・・しょうがないな」

セールが苦笑いを浮かべてから、不思議そうな顔をしてクラースを見た

「それにしても、もうそんな時期か?」

「いえ、今年の分はまだ何にするか決めかねているんですが・・・」

「なら、どうした?」

「それとは別に、始めてお願いした指輪にあうシンプルなネックレスはありますか?」

「ほぉ、最初となるとあれか・・・」

セールが昔を思い出す様に目を細めた

「それにしても、今回は随分わかりやすい注文だな」

「ええ、妹が彼女に2つ同時に渡したら良い事があるかもしれないというものですから」

「!?」

「おい、遂に受け取ってもらえるのか!」

セールが目を見開いてクラースの肩を掴んだ

「え?はい、やっと今までの分も渡せそうです」

「よかったなぁ、長かったなあ、何年越しだ?」

「6年です、今年で7年目でした」

「よかったなぁ」

「ありがとうございます」

「今年のは腕に縒りをかけなくちゃいかんな」

「よろしくお願いします、決まったらすぐにお知らせします」

「ああ、任せろ!」

自分のことのように嬉しそうなセールがハッしたように我に返る

「おっと、シンプルなネックレスだったな」

「はい」

「確か妹さんは彼女と仲が良いんだったよな、その妹さんが同時に渡せば良い事があるって言ったんだよな?」

何故か、にやにやしながら確認してくるセールにクラースが不思議そうに答えた

「はい」

セールは、棚に並んだ商品を真剣な顔をして見渡すと数本手に取ってクラースに見せた

(どれも普段使いできる素材だし、そこまで値段は高くないが質は良い)

「多分これなら大丈夫だ、どうする?」

クラースは差し出されたネックレスを見つめると、すぐにその内の一つを手に取りじっと見た

「これをお願いします」

「ああ、包装は?」

セールはまだ会ったことの無いクラースの妹にいいアドバイスだ(グッジョブ)と心の中で呟いた

セールが本当は色々助言をしたい気持ちをぐっと堪えて、クラースに包装の有無を確認した

(良い事とあえて詳しく言わなかったと言うことは俺も何も言わない方がいいんだろうな)

(それにしても、俺なら指輪を渡した後、勝手にネックレスに通して首にかけちまうがな)

「お願いします」

「ああ」

複雑な胸中をどうにか押し殺したセールが短く答えて、手際良く包装を始めた


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