第六十一話 ニヴィとクラースとジヴィとローザ
ジヴィとニヴィがローザを見てまったりしていると、ドアを開けてクラースが入って来た
ジヴィに抱き締められて嬉しそうにしているローザを見てクラースが口元を緩めた
「ローザ、良かったな」
「はい!」
「ジヴィ、何かあったら協力するぞ」
「ああ、ありがとう」
「まあ、何も無いと思うが・・・」
両親を思い浮かべたクラースが苦笑いを浮かべて呟いた
「そう言ってもらえると心強いよ」
「ああ」
クラースとジヴィがしみじみと顔を見合わせていると、ローザが弾んだ声を上げた
「兄さん、今日もニヴィはとても可愛いのよ!」
「ああ、ニヴィはいつも可愛いからな」
爽やかな笑顔とともに言い切ったクラースにニヴィが叫んだ
「ば、馬鹿なんじゃないの!」
「俺は間違ったことは言っていない」
「ローザ、貴方のお兄さんどうにかして!」
「お兄さんではなく、クラースと呼んでくれないか」
「嫌よ!」
「ジヴィ、友達なんでしょ、何とかしてよ!」
「俺はニヴィとも友達だぞ?」
「もう、嫌!!」
「そうか、それはすまなかった」
クラースが一瞬悲しそうな顔を浮かべたが、すぐに微笑んでジヴィの方を向いた
「待たせて悪かった、そろそろ始めるそうだ」
そのまま客間を出て行こうとするクラースの後ろ姿をニヴィがちらちら見ていた
「はぁ、仕方ないな・・・」
ジヴィは小さく呟くとクラースを呼び止めた
「クラース」
「何だ?」
「何だ、じゃないだろう?」
「父さんなら」
クラースの言葉をジヴィが遮った
「ネックレスどうした」
ジヴィの一言にニヴィがぴくりと反応した
「何でそれを知っている」
クラースが肯定した瞬間ニヴィがソファーに崩れ落ちた
ソファーが衝撃をやわらげたのかそれ程音がしなかったので、こちらを振り返らないクラースはニヴィの様子に気付いていない
「どうしてってここら辺で噂になってるからだよ」
「何故だ?」
「お前が堂々と店に行って客の前で、自分の誕生日会で大好きな子に渡したいんですが、間に合いますかって、馬鹿正直に言ったからだろうよ!」
「それの何がいけないんだ」
「そこはお前らしいし、いいと思うよ」
「そうか」
「ただ、俺はちゃんと言ったよな、ここら辺で噂になっているって」
「ああ、言った」
「まだ、分からないのか?お前の大好きな子も噂を知ってるって言ってるんだ」
「ああ」
淡々とこちらを振り返らずに答えるクラースに、ジヴィが顔を歪めた
「大好きな子にはもう会ったのか?」
「・・・ああ、今会った」
クラースの言葉にニヴィが勢い良く顔を上げると、ジヴィとクラースを交互に見る
「えっ、クラースの大好きな子ってジヴィなの!?」
「違うだろ!!」
「断じて違う!!」
ジヴィとクラースが揃って声を荒げた
「じゃあ、ローザ?」
ジヴィがクラースを若干疑わし気に、ローザが気遣うように兄を見た
クラースはジヴィとローザの視線を背中に受けながら、ドアに片手をついて項垂れていた
「・・・違う」
小さく呟いて開けたドアから出て行こうとした
「えっ、今違うって言った?」
クラースの背中にニヴィが問いかけた
「ああ・・・」
「じゃあ、大好きな子って誰よ!!」
ニヴィが叫んだ瞬間、部屋の中が静かになった
ドアの枠に手をついて身体を支えるクラースの姿にジヴィとローザが思わず言葉を漏らした
「それはないんじゃないか、ニヴィ?」
「ニヴィ、それはあんまりです!」
「え?」
ジヴィとローザの言葉に何とか立ち直ったクラースが振り返って叫んだ
「俺が大好きなのはニヴィ、お前だ!!」
「ええええええええええっ!?」
クラースの叫びを聞いたニヴィも叫んだ




