第五十七話 ジヴィとニヴィ
ため息をついたジヴィは、玄関のドアを開けて穏やかな日差しの中に足を踏み出した
ジヴィの髪がそよ風を受けてさらさらと音をたてた
ジヴィは腕時計に目落とし、時間を確かめてから再びため息をついた
「ジヴィ、ちょっと待って」
慌てた声とともにニヴィが、ジヴィがしめた玄関のドアから走り出してきた
ニヴィは、先に行ってしまったジヴィにぶつぶつ文句を呟きながら駆け寄って来た
ニヴィが追い付くまで足を止めて待っていたジヴィが、ニヴィにキッとにらまれて苦笑いを浮かべた
「ニヴィ、これ以上待っていたら約束に遅れてしまう」
「・・・ごめん」
ジヴィにもっともなことを言われてハッとしたニヴィは俯いた
ジヴィは俯いてしまったニヴィの頭を元気づけるように軽くポンと叩いた
「大丈夫、まだ間に合う」
ジヴィの言葉に不安そうな顔したニヴィが勢い良く顔を上げると、ニヴィの髪が風に舞ってふわりと広がった
「やっぱり、欠席してもいい?」
「ん?」
聞こえているはずのにあえて聞き返してきたジヴィに、ニヴィはようやく覚悟を決めた
「何でもない!」
ジヴィはニヴィに笑いかけると、日差しを反射してきらりと光ったブローチに目をやった
「そのブローチは始めて見た・・・かな」
「かわいいでしょう?」
気に入っているものを褒められたのが嬉しいのかニヴィが満面の笑みを浮かべた
「今日の服に良く似合ってる」
「ありがとう、そう思って付けて来たの」
「クラースから?」
ジヴィが金と緑という色合いに思わずクラースを思い出して名前を出した途端に、ニヴィは不機嫌になった
「ち、違うわよ!?ローザと一緒にお互いの物を選んだのよ」
「・・・」
ニヴィはクラースの2つ下の妹であるローザとは驚くほど仲が良いのに、自分たちと同い年のクラースとはあまり仲が良くない
一度不思議に思ってクラースに聞いてみたことがあったが、クラースは首を傾けて悲しそうに笑っていた
「ローザのブローチも可愛いのよ」
無言で何かを考え始めてしまったジヴィにニヴィの嬉しそうな声が聞こえた
「あぁ、ニヴィが選んだのなら間違いないさ」
当たり前のようにジヴィが答えると、ニヴィが嬉しそうに笑った
「ジヴィ、ありがとう」
ジヴィは見えて来たクラースの家を見つめながら、考え始めた
(先月開かれたローザの誕生日会には出席していたのに、クラースの誕生日会には欠席なんて出来ないことは分かっているはずなのに随分渋っていたな
家が少し離れてはいるけれど隣同士で、両親揃って仲が良いのだから逃げられないし・・・)
「よし、(クラースを)問い詰めるか!」
思わず声に出してしまってから、しまったと隣を見ると、びくりとニヴィの肩が揺れた
見られていると分かっているのにこちらを見ようとしないニヴィに、ジヴィは首を傾ける
元々聞かせるつもりで呟いたわけではないので、それでいいかとジヴィは気持ちを切り替えた
門の前で待っていた男の人と挨拶を交わしているジヴィの背中を見つめながら、ニヴィがぼそりと呟いた
「聞かれたって何も答えないわよ・・・」




