第五十六話 アズールとジヴィとランとニヴィとイオとシンザとセールとロド
花瓶を持ったジヴィが部屋に戻って来た
「ニヴィは?」
ランが一人で戻って来たジヴィに問いかけた
「今、イオさんたちと戻って来ると思う」
「そうか、何でジヴィが花瓶を持っているんだ?」
慎重に歩いて机の上に花瓶をおろしたジヴィに、笑いを何とか押し殺したアズールが声をかけた
ジヴィがアズールの傍まで歩いて来て、アズールを見上げながら答えた
「手に持った花を見ながらもう片方の手で花瓶を持って上機嫌で歩くニヴィを放って置けなかったから・・・かな?」
最後に首を傾けたジヴィにアズールが苦笑を浮かべた
「・・・いい判断だ、人様の家だからな」
アズールがジヴィの頭をぐしゃぐしゃと撫でまわすと、ジヴィが嬉しそうに笑った
ニヴィが部屋に駆け込んで来て、ランを見上げた
「どう?お花、変じゃない?」
「ええ、綺麗ね」
ランがニヴィに微笑みかけるとニヴィが嬉しそうに笑った
「シンザ、大丈夫なの?」
心配そうな顔をしたイオがロドと寄り添うように部屋に入って来た
「大丈夫、寝てしまってごめんなさい・・・」
シンザがイオに微笑みかけたが、イオの顔を見たシンザが慌ててイオに駆け寄った
「姉さん、大丈夫?」
「大丈夫、少し昔の話をしていたら懐かしくなってしまっただけなのよ」
「なら、いいのだけど・・・」
イオがシンザに微笑みかけると、シンザがホッとした顔をした
「ところで、ずっとセールがついていたらしいじゃない、よかったわね」
イオがシンザに顔を近づけてささやくとシンザが嬉しそうに笑った
「ああ、そうだ、イオ」
何かを思い出したようなセールがイオに声をかけた
「何、セール?」
「納期のこともあるから、明日には帰らなくちゃならないんだ」
「あら、頑張ってね、ありがとう、全部大事にするわ」
「ああ、ありがとな」
イオとセールが微笑み合った
「ロドさんの気持ちが詰まっているから俺もやりがいがあったよ」
セールがイオに寄り添うように立っているロドに視線を移した
「素晴らしい仕上がりでとても嬉しいよ、また宜しくお願いするよ」
「ありがとうございます」
ロドとアズールが握手を交わした
シンザはセールにそっと近寄ると声をかけた
「セール、納期ってあの子の?」
「ああ、今年こそ受け取ってもらえるといいんだがな・・・」
「そうね、今年で・・・4年目よね」
セールとシンザがしみじみしながら話していると、ニヴィがシンザとセールを見上げて首を傾けた
「何が4年目なの?」
「毎年贈り物を受け取ってもらえない子がいるんだ」
「へえ、4年も受け取ってあげないなんて酷い人もいるのね、可愛そう・・・」
「ああ、今年は上手くいくと良いよな」
「ええ」
「うん!」
笑顔を浮かべたニヴィにシンザが微笑みかけ、セールはニヴィの頭をぽんと軽く叩いた
「ニヴィは、特別な贈り物をもらうのか?」
突然にやりと笑ったセールがニヴィに問いかけると、俯いたニヴィが呟いた
「もらわない・・・プレゼントはくれるけど誕生日会にも来てくれない・・・」
情けない顔をしたセールがシンザに助けを求めると、シンザがキッとセールを睨んでからニヴィの前にしゃがみ込んだ
「大丈夫、いつか誕生日会に来てくれるわ」
「本当?」
シンザの言葉にニヴィが顔を上げた
「ええ、こんなにかわいい子に誕生日会に誘われて断り続けれる訳がないわ!ね、セール?」
目線でシンザに促されたセールが慌ててしゃがみ込んだ
「あ、ああ、勿論だ!」
「ありがとう」
一瞬視線を泳がせたニヴィがシンザとセールを見て笑った
その後、食堂に移動して全員で夕食を取り、居間に移動して和気あいあいと会話を楽しんだ
翌日、イオとロド、ロドの父親に見送られながらアズールたちが帰路についた
「兄さんたちはもう少しゆっくりして行けばいいのに・・・」
「姉さんが早く馴染めるように気を使ってくれたのよ、きっと・・・」
自動車を運転しながらセールが呟くと、助手席に乗っているイオが呟いた
「そうか」
「そうよ」
穏やかな顔しているシンザの髪につけられた髪飾りがきらりと日の光を反射すると、それを横目で見たセールが嬉しそうに微笑んだ




