第五十二話 ランとアズールとロド(ランの先輩)とイオとセールとシンザ(元ノラ)とニヴィとジヴィ
突然庭が騒がしくなったのでジヴィとニヴィが目を凝らすと、イオが手に持ったブーケを頭の上で大きく振りながら叫んだ
「そろそろ、ブーケトスをします!」
ニヴィが慌てて立ち上がって、シンザを呼んだ
「お姉ちゃん!ブーケトス!!」
ニヴィの声にシンザがハッと顔を上げた
「取れるといいな」
くすくす笑うセールにむぅっと唸って頬を膨らませたが、ニヴィと一緒に走って行った
セールはゆっくり立ち上がると、ジヴィと一緒に人だかりに向って歩き出した
「みんな準備は出来た?」
ランとシンザとニヴィが笑いながら答えた
「「「出来たわ!」」」
その言葉にイオが後ろを向くとロドがイオの腰に手を回して支えた
一瞬イオがロドと微笑み合った
「あ!」
何かに気付いたジヴィが走り出した
「父さん」
アズールに駆け寄ったジヴィがアズールの顔を見上げて、自分の眉間を指差した
「ジヴィ、どうした?」
アズールが不思議そうに首を傾けた
「セールさんが、そうしてると取れなくなるって!」
「兄さん、今日くらいは険しい顔しなくてもいいんじゃないですか?」
セールがアズールに声をかけると、アズールがジヴィの前にしゃがみ込んだ
「ありがとうな」
アズールがジヴィの頭をぐしゃぐしゃと撫でるとジヴィが嬉しそうに笑った
ジヴィの顔を見たアズールが嬉しそうに微笑んだ
セールが2人を見ていると、庭を突風が吹き抜けた
「「「え!?」」」
驚いたような声が響いた
視界の隅に何かが飛んでくるのが見えたセールが思わず手で払うと、悲鳴が上がった
「ちょっと!!」
「きゃっ!?」
「えぇー!」
声のした方を向くと、ブーケを手にして呆然としているシンザと微妙な顔をしているランとニヴィが見えた
「シンザちゃんいつの間にそんなところまで移動してたの?」
「お姉ちゃん、いいな」
ランとニヴィがシンザに歩み寄った
「えっと、風が吹く少し前に猫ちゃんが目の前を横切って行ったんでつい追いかけちゃって・・・」
「え?」
シンザの言葉にランが声を上げた
「そしたら、風が吹いてブーケが落ちて来たんです」
「あれ、どこ行っちゃったんだろう?」
シンザが辺りをきょろきょろ見回し始めた
「え、ノラ!?」
イオが声を上げた
イオの指差した塀の上にちょこんと座った猫がウニャァーンと鳴いてから塀の向こうに消えた
アズールがシンザに歩み寄ると軽く頭を撫でた
「次はシンザの番かもしれないね」
「え!?」
シンザが勢いよく顔を上げた
「ああ、誰から貰ったのか知らないけどこの髪飾りとても似合っているね」
「え、え!?」
そのまま俯きそうになったシンザにアズールが声をかけた
「まあ、式の間にシンザの頭に髪飾りをつけれるなんて一人しかいないだろうけどね」
「ええええええ!?」
シンザがパニックになっていると、セールとラン、イオが駆け寄って来た
「兄さん、なんでそんなに落ち着いているんです!?」
「そうよ!」
「ノラだったわ!」
「ああ、そうだね」
「だったら!」
セールの言葉を遮ったアズールがシンザに問いかけた
「昔から、よく見失う猫はあの猫なんだね?シンザ?」
「ええ、いつもさっと現れてさっと消えてしまうんです」
セールがシンザをじっと見つめた
「ついて来ちゃったのかしら?」
ランとイオが微笑み合った
「ああ、君から離れないだろうね」
「え?」
アズールの言葉にシンザが首を傾けた
「いつか話してあげるよ、シンザの知らないセールの小さい頃の話」
「えっ!?」
シンザが頬を染めてアズールを見上げた
「イオ?」
ロドが、不思議そうにイオを呼ぶとハッとしたイオがロドに駆け寄った
「どうしたの?」
「後で少し話を聞いてくれるかしら?」
「ああ、喜んで」
「ありがとう」
イオがロドを見上げて微笑んだ




