第五十一話 セールとシンザ(元ノラ)とジヴィとニヴィ
戻って来たニヴィがセールを見上げて笑った
「ニヴィ、どうしたんだ?」
「あのね、お姉ちゃんに・・・なに?ジヴィ」
突然ジヴィがニヴィの手を取ったので、ニヴィがジヴィを振り返った
「セールさん、シンザさんが呼んでますよ?」
「ん?ああ、ありがとう」
セールが後ろを振り返ると、首を傾けて不思議そうな顔をしているシンザと目が合った
「どうした、シンザ?」
「えっと、ニヴィが私の顔を見て自分の眉間を指差して行ったんだけど意味が分からなくて・・・」
「眉間を指差して・・・」
シンザの言葉を繰り返して呟いたセールがハッとした顔をして後ろを振り返った
満面の笑みを浮かべたニヴィと、微笑んでいるジヴィを見たセールが一瞬目を見張った
「セール、どうしたの?」
シンザの声に我に返ったセールがシンザに向き直った
「いや、何でもない」
「そう」
「さっきの話なんだが・・・」
「ええ」
口ごもったセールにシンザが続きを促した
「ジヴィが険しい顔したらそうやって教えてやればいいって教えたんだが・・・」
「そ、そうなの・・・」
セールから顔を逸らして口ごもったシンザにセールが問いかけた
「シンザは険しい顔だったのか?」
「え?そ、そんなわけないじゃない!!」
慌てて否定したシンザを見てセールがにやりと笑った
「静かにしないといけなかったんじゃないのか?」
「っ!?」
頬を染めたシンザが、セールをキッと見ながらボソッと呟いた
「ニヴィに髪を触られて嬉しそうにしてた」
「ああ、折角スーツ着ているのに髪がぼさぼさだって言われて直すの手伝ってもらった」
わざと聞こえないように呟いたシンザが、セールの言葉に首まで真っ赤になって俯いた
「シンザも髪がぼさぼさになったらニヴィが直してくれるぞ、どうする?」
セールがシンザの頭に手を置いてにやりと笑った
「え、い、いい、ぼさぼさにしなくていいから!」
慌てるシンザにセールが微笑みを浮かべると、シンザの頭をぽんぽんと軽く叩いた
「冗談だ」
「っ!?」
息を呑んだシンザが背伸びをしてセールの頭に手を伸ばすとぐしゃぐしゃと撫でまわしてから、そっぽを向いた
そっぽを向いたことでちらりと見えた、先ほどこっそりシンザの頭につけた髪飾りを見たセールが嬉しそうに微笑んだ
ちらりと横目でセールの様子を伺ったシンザが、セールに申し訳なさそうに謝った
「ごめんなさい、セール」
「いや、大丈夫だ、すぐ直せるさ」
手櫛で直そうとしたセールに、シンザが声をかけた
「直すの手伝うから、そこに座って?」
「ああ、ありがとう」
セールが花壇の縁に腰掛けると、嬉しそうな顔をしながらシンザがセールの髪を直し始めた
少し離れたところからセールとシンザを見ていたジヴィとニヴィが顔を見合わせて笑った
「いいな、あの髪飾り綺麗ね」
「ああ、シンザさんに似合ってるな」
幸せそうに微笑んでいるセールとシンザを見ながら、ジヴィとニヴィが呟いた
「「直接渡せばいいのにね・・・」」




