第五十話 セールとジヴィとニヴィとシンザ(元ノラ)
不安そうな顔をしたジヴィにセールが微笑みかけた
「子供がそんな顔するんじゃない」
「でも、楽しそうなのに一緒にいて楽しいって思えないんです・・・」
「俺から目を逸らすし、隣にいても段々距離が遠くなるし、近頃はニヴィとばかり話しているし・・・」
「前は、俺にも同じ態度だったのに・・・」
ぶつぶつつぶやき始めたジヴィにセールが驚いた
「流石兄さんの子供だな」
「セールさん?」
セールの呟きを聞き取れなかったのか視線を上げたジヴィがセールを呼んだ
「ジヴィ、俺の考えを言うのは簡単なんだが何となく、大人が口を出さない方がいいような気がするんだ」
「そう?」
「ああ、だがニヴィとは仲良くな、その子にも優しくするんだぞ?」
「・・・わかった」
「どうしても耐えきれなくなったら、ニヴィやその子じゃなくて、兄さん、お前の父さんに相談するといい」
「セールさんじゃ駄目なの?」
「いや駄目じゃない、ただ父親は子供に頼られたいようだぞ?」
「ふーん、わかった」
セールがジヴィの頭をぽんぽんと軽く叩くと、ジヴィが笑った
「後、眉間の皺は気を付けないと取れなくなるぞ?」
セールがニヤリと笑うと、ジヴィが慌てて眉間を押さえた
それを見たセールが笑い声を上げると、シンザとニヴィが不思議そうな顔をして2人を見た
拗ねてそっぽを向いたジヴィにニヴィが首を傾け、ジヴィを見てにやりと笑ったセールに近寄って来たシンザがセールの顔を見上げた
「セール、静かにしなきゃ!」
シンザがキッとセールを小声でたしなめた
「ああ」
セールが答えると、セールを見上げたニヴィとシンザがシーっと唇の前に人差し指を立てた
「ニヴィ」
ジヴィが小さく呼ぶと、ニヴィがジヴィの顔を見てからセールを見上げた
「どうした?」
セールがじぃっと自分を見上げるニヴィに声をかけた
「ジヴィが険しい顔してない!」
ニヴィが嬉しそうに笑った
セールがニヴィの前にしゃがみ目線を合わせた
「これから、ジヴィが険しい顔をしたら自分の眉間を指差しながら顔を合わせてやればいい」
「わかった!!」
元気良く答えたニヴィにセールがにやりと笑った
「静かにしないといけなかったんじゃないのか?」
「ごめんなさい・・・」
セールと目を合わせたままだったニヴィが口ごもった
セールがくすくす笑うと、ニヴィが顔を上げてセールをキッと見た
「折角スーツなのに髪ぼさぼさ!」
「忘れてたな、適当に直しただけだったな」
セールが手櫛で髪を直しているとニヴィも手を伸ばして手伝った
「これで大丈夫かな?」
「大丈夫!」
セールとニヴィが顔を見合わせてくすくす笑っていると、ジヴィがニヴィの耳に何かささやいた
突然ニヴィがパッと顔を上げてセールの横をすり抜けて走っていった
「ジヴィ、ニヴィはどうしたんだ?」
「何でもないですよ?」
立ち上がったセールが首を傾けながら傍にいるジヴィに尋ねると、ジヴィが微笑んだ
ジヴィの微笑みを見たセールが口元をひきつらせた
「兄さんそっくりだな」
「ありがとうございます」
セールの言葉に嬉しそうに笑ったジヴィにセールが苦笑いを浮かべた




