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大切な人たちとの日々  作者: MIK
予感は現実に成る
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第四十七話 セールとシンザ(元ノラ)とロド(ランの先輩)

セールが店の作業部屋で新作の構想を練っているとベルの鳴る音が聞こえた

「いらっしゃいませ、あら、ロドさん!」

聞こえて来たシンザの声にセールが部屋から出ると、カウンターの前にいたロドと目が合って会釈した

ロドは、この間会った時とは別人のように穏やかな顔をしていた

「おめでとうございます、ロドさん」

「ありがとう、セール君」

セールが話しかけるとロドが嬉しそうに答えた

「ロドさん、姉さんをお願いしますね」

「ああ、もちろんだよ、シンザちゃん」

嬉しくて仕方がない様子を隠しきれないロドがシンザとセールを見て言った

「指輪と、結婚式で使う装飾品をまとめてお願いしたいんだ」

「わかりました、ありがとうございます」

シンザとセールが揃って頭を下げた

セールはロドの希望を聞くために商談スペースに移動した

椅子に座ったロドがセールを見て顔を引き締めた

「セール君、あの時君と会わなかったら俺はきっと人として駄目になっていた」

「今こうしていられるのは君のお蔭だ、本当にありがとう」

頭を下げたロドにセールが苦笑を浮かべながら言った

「きっと俺が口出ししなくても、イオはロドさんの傍を離れませんでしたよ」

「それは・・・」

自信が無さそうに視線を下げたロドに、セールがにやりと笑った

「幼馴染が言うんだから間違いありませんよ」

「ありがとう」

「いえ、イオがあんなにはっきり自分の気持ちを主張したのは始めてだったので俺も驚いたくらいですから」

「それは、アズール君にも言われたな」

「ええ、それくらいロドさんはイオにとって大きな存在なんですよ、普段のイオからは分かり辛いかもしれませんが・・・」

「そうか・・・」

改めて幸せそうに口元を緩めたロドが、突然にやりと笑ってセールを見た

「きっと、シンザちゃんを大切に思い続けているセール君だからこそ分かるんだろうね」

視線を泳がせたセールに真面目な顔をしたロドが続けた

「俺は話を聞くぐらいしか出来ないけれど楽しみしているよ、頑張って、セール君なら大丈夫だ」

「ありがとうございます」

軽く頭を下げたセールとロドが笑い合った

「楽しそうね」

シンザがお菓子とお茶を乗せたお盆を持って商談スペースに入って来た

「姉さんの好みを熟知している妹の助けがいる時はいつでも呼んでね」

机の上にお菓子とお茶を置くとくすくす笑いながら、シンザが商談スペースを出て行った

出来上がったデザイン画を見ながらロドが呟いた

「噂には聞いていたが素晴らしい、セール君はもう都市に戻らないのかい?」

「はい、俺がデザインを練るにはシンザがいないと駄目なんです」

「そうか」

「新しい技術よりも大切な俺の強みです」

自慢気に話すセールをロドが眩しそうに見ていた

「ますます、君たちの結婚式が楽しみなったよ」

「ぅ・・・」

「ここのある商品はセール君の思いが形になったものなんだね」

「ロドさん、改めて言われるとちょっと・・・」

セールが頭を抱えて机に突っ伏した

ロドが赤くなっているセールの耳を見てくすくす笑いながら呟いた

「そう言えば、イオがシンザちゃんはセール君の耳だけ見てればいいのにと言っていたのはこういうことか・・・」

それを聞いたセールがさっと手で耳を隠すと、それを見たロドが堪え切れずに吹き出した

顔を上げたセールがジトッとした目でロドを見ると、ロドが顔を逸らして辺りを見回した

一瞬遠くを見つめたセールが顔を引き締めるとロドに声をかけた

「残りのデザインも大まかに決めてしまいますか?」

「ああ」

2人はそのまま真剣な顔で打ち合わせを始めた


打ち合わせを終えてロドを見送ると、シンザがセールに声をかけた

「セール、私に手伝えることがあったら言ってね」

「ああ、ありがとう」

「私に出来ることは無いかもしれないけど・・・」

俯いたシンザの呟きを聞き逃さなかったセールが立ち止って、シンザを見た

「セール?」

目の前まで近づいて自分を見下ろしたセールをシンザが不思議そうに見上げた

「シンザは俺の傍で笑っていてくれたらそれでいい・・・それだけで十分だ」

微笑んだセールがシンザの頭をぽんぽんと軽く叩いた

「本当に?」

「ああ」

不思議そうに呟いたシンザが恐る恐る顔を上げると、ハッとしたセールがシンザの髪を絡めとるように触れていた指をそっと外して頷いた

「しかし、しばらく泊まり込みになるな」

何気なさそうに言いながらシンザに背を向けたセールが作業部屋に向った

ドアをしめたセールが片手で顔を覆って呟いた

「危なかった・・・」


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