第三十九話 セールとシンザ(元ノラ)とクラース
新しい紙に何かを書き込むとクラースに渡した
「クラース、こことここをそんな風に変更してもいいか?」
「はい」
「あと、ここをこう変更すると、ここのこれをもう少しこう出来るがどうする?」
「えっと・・・」
「ゆっくりでいいぞ」
セールが何かを書き込んで渡した紙から顔上げずにクラースが頷いた
「ここを変更しないでこうなりますか?」
クラースの言葉にセールがじっと紙を見下ろした
「そうすると、ここがこうなるが」
「はい」
「他に気になるところはどこかあるか?」
「ないです」
「そうか、もう一度書き直すからちょっと待ってくれ」
「はい」
「よし、これでいいか?」
セールの差し出した紙をじっくりみたクラースが上げた顔に笑顔を浮かべた
「はい!これでお願いします」
「おっと、いつまでに必要なんだ?」
クラースの答えた日付を紙に書き込んだセールがクラースに受け取りに来る日を確認して紙に書き足した
「お金は商品と引き換えだ、どこかに落とさないように気をつけて帰るんだぞ?」
「はい!」
シンザとセールに頭を下げるとクラースは店を出て行った
「シンザ、作業スペースを使わせてもらうぞ」
「ええどうぞ、セール、しばらくこっちにいるの?」
「ああ、これからずっとこっちにいるぞ?」
「ええええええ!?」
「そうか、シンザは俺が帰って来て嬉しくないのか・・・」
「ち、違う!凄く嬉しい!!」
シンザが慌てて叫んだ
「そうか、そんなに喜んでくれると俺も嬉しいな」
シンザがにやにやしているセールを見て、からかわれたことに気付きむぅっと唸って頬を膨らませた
それを見たセールがシンザの頬を軽くつついてくすくす笑った
「変ってないところもあるんだな」
「セールもね!」
「シンザ?」
「何?」
「そのお茶どうするんだ?」
セールがカウンターの上にすっかり冷めてしまったお茶の乗ったお盆を指さした
「あ、忘れてた・・・」
「上に持って行ってクラースの注文について話し合いながら飲むか」
「冷めてるわよ?」
「俺は構わないぞ?」
「それに、持って行くとシンザはカップでお茶が飲めるぞ」
笑いながら言ったセールにシンザが頬を膨らませると、それを見たセールがくすくす笑った
シンザは上に戻ると下から持って来たお盆を机の上に置き、飲み終わっていたカップをミニキッチンの流しに移動させてから、セールと向かい合うように椅子に座った
「まず、勝手に注文を受けてすまなかった」
セールがシンザに頭を下げた
「私もあの子の注文を受けてあげたかったから助かったわ、ありがとう、セール」
シンザとセールが微笑み合った
「そう言えば、良くあんなに細かい情報を把握してたな」
「ああ、お兄ちゃんが下調べは重要だって良く言ってたから癖になっちゃってて」
「なるほど・・・」
シンザの言葉に深く頷いたセールがハッとした
「あ、帰って来てまだ挨拶行ってなかった」
「え!?私が引きとめたせいね、一緒に行って事情を説明するわ」
「ああ、取りあえず行っておかなきゃな」
セールの言葉にシンザが苦笑を浮かべた




