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大切な人たちとの日々  作者: MIK
あなたの傍にいたいから
38/94

第三十八話 セールとシンザ(元ノラ)とクラース

「下にあったのは試作品か?」

「え?ああ、あれは注文をうけたんだけどうまくいかなくて、仕方がないんだけど断ろうと思っているの」

「ん?」

「えっと、男の子が貯めたお小遣いを持って好きな子に贈り物をしたいといって店に来たんだけど、既製品でイメージにぴったりのものがなくて探してみることになっているの」

「色々探してみたのだけど見つからなくて、作ってみたんだけど・・・余計に駄目だったのよ」

「そっか」

「丁度、今日どうなったか聞きに来てくれることになっているから、力になってあげたいけど断るしか・・・」

「シンザ」

「なに?」

「シンザは注文を受けてあげたいんだよな?」

「ええ、凄く一生懸命で力になってあげたいわ」

「今日、いつごろ来るんだ?」

セールの言葉に時計を確認したシンザがハッとした

「あら、もうこんな時間、多分もうそろそろ来ると思うわ」

シンザが言い終わると、下から扉に付いたベルの鳴る音が聞こえて来た

「あら、来たみたい」

シンザが店に降りて行った、セールが後を追って階段を下りて行くとカウンターの前に男の子が立っていた

男の子は下りて来たシンザを見つけると口を開いた

「あの、見つかりましたか?」

シンザが答えるより先にセールがシンザの前に進み出ると、男の子が不思議そうにセールを見上げた

「シンザ、紙とペン」

「え、ちょっと待って」

セールはカウンターから出ると男の子の前にしゃがみ込んだ

「俺はセールって言う、今からお前の希望を聞く、いいか?」

「はい!お願いします!!」

セールは元気良く答えた男の子の頭を軽くぽんぽんとたたいた

「あ!」

「どうした?」

突然驚いた声を上げた男の子にセールが問いかけた

「僕はクラースと言います、よろしくお願いします」

名乗ってからぺこりとお辞儀をしたクラースにセールが微笑んだ

「セール、はい」

「ありがとう、シンザ」

セールがきょろきょろ店内を見渡しているのに気付いたシンザが、倉庫から机と椅子を持って来た

布巾で拭いてからクラースとセールに勧めた

シンザは椅子に座るとすぐに話し始めたセールとクラースにお茶を入れるために給湯室へ向かった

お茶を淹れて店に戻ると、2人はまだ話していた

嬉しそうなクラースを見てシンザが微笑んだ

シンザがふと、セールを見ると真剣な顔をしながら紙に何かを書き、時々顔を上げてクラースに質問していた

シンザがセールにぼーっと見とれていると、シンザに気付いたクラースが声を上げた

「シンザさん!」

椅子から立ち上がってシンザの前まで来たクラースがシンザに頭を下げた

「ありがとうございます!セールさんに頼んで下さってありがとうございます」

「え、えぇ、よかったわね」

もう一度シンザに頭を下げると戻っていってセールの手元を覗き込んだクラースの顔がぱあっと明るくなった

「そう、こんな感じのものです!」

「わかった」

クラースに向き直ったセールが真面目な顔をした

「さて、ここから現実的な話だ」

「はい」

クラースが椅子の上で姿勢を正した

「一番変えたくない場所はどこだ?」

「ここです」

「次に、予算は?」

セールの言葉にクラースの顔が悲しそうに曇った

「これだけです」

机の上に置いたお金をセールが数えて紙に書き込んだ

「ちょっと待っていろ」

不安そうにセールを見上げたクラースに微笑みかけてからセールがシンザに向って歩いて来て呟いた

「シンザ、これと、これ、あとこれのここでの取引の最小、最大ロットと相場を大まかにでいいから書いてくれ」

シンザが書き込むと、それをじっと見たセールが小さく頷いてクラースのところに戻って行った


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