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大切な人たちとの日々  作者: MIK
それぞれの道
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第三十二話 アズールとセールと師匠と少々ランとシンザ(元ノラ)

アズールとランに男女の双子が産まれ、双子の姉がニヴィ、弟がジヴィと名付けられた

少し遅れてリュイとベルデにも男の子が産まれ、クラースと名付けられた


双子が産まれて忙しそうなアズールとランをセールとイオが可能な限り手伝い、ニヴィもジヴィもすくすく成長した

最近沈んだ表情を浮かべることが多くなっていたセールにアズールが声をかける

「セール、どうした」

「いえ、別に何もないです」

誤魔化すように笑ったセールの顔をアズールがじっと見た

「話すだけでも気が晴れるものだぞ」

少し迷ってからセールが話し始めた

「そうか、都市に行って最先端の技術を学びたいのか」

「はい、でも都市に(つて)もないしどうしようか悩んでいます」

「誰か弟子入りしたい技術者はいるのか?」

セールが呟いた名前をアズールが頭の中にしっかり記憶した

「もうしばらく、ここにいてしっかり基礎を身につけるのも悪くないかもしれない」

「俺も成人するまでは今の師匠にしっかり学ぼうと思っています」

「そうか」

しばらくしてセールを見送ったアズールが自室に戻ると書棚から一冊のファイルを取り出して中を確かめ始めた

「やっぱり、覚えがあると思ったらこの時に見ていたのか」

アズールが広げたファイルの中には、セールの師匠の生い立ちがびっしり細かく書き込まれていた

「やっぱり、下調べは重要だな」

ファイルに視線を落としながらアズールが呟いた

アズールがセールの師匠に手紙を送ると、数日後に返って来た手紙にはセールを初弟子にあずけようと段取りをしているところだと書いてあり、手紙の最後の方に、わしに相談せんとはやっぱりセールはどこか抜けておると書いて締めくくってあった

アズールはセールの師匠に感謝するとともに、しっかりしているようで肝心なところが抜けているセールを思い浮かべて深いため息をついた

自分の師匠がかつて大都市で一流と言われていたことを、その初弟子がまさに自分の師事したいと思っているその人だとは微塵も考えていないであろうセールを驚かせてやろうと、セールの師匠と結託したアズールがにやりと笑った

水面下で着実に段取りを進めながらセールに種明かしをするのはいつがいいかと考えていたアズールと師匠はやはり成人の式の日が妥当だと目星をつけた

最近妙に活き活きしているアズールをランが不思議そうに見ていた

「何か新しいことでも始めたのかしら」


ニヴィたちが産まれてから2年後に、リュイとベルデに女の子が産まれ、ローザと名付けられた



セールとイオの成人の式でセールの師匠とアズールが渡した紙を読んだセールが驚いて固まった

それを見たイオとシンザがくすくす笑った

ランが両親に封筒を渡すと、アズールを指さした

封筒の中の手紙を首を傾けながら取り出し手紙を読み終えたランの両親がアズールにお礼を言いに来た

「ありがとう、何の(つて)もないところへ行かせるのはとても不安だったんだ」

「これで安心してこれからの日々を過ごせる」

「本当にありがとう」

「それとこれからも、ランのことをよろしく頼むよ」

「はい、分かりました、お任せ下さい」

両親に頭を下げたアズールにランがそっと寄り添った

「ありがとう、アズール」

「セールは肝心なところが、抜けているから私も心配だったの」

「本人は気が付いてないみたいだがな」

「だから余計に心配なのよね・・・」

ランが軽くため息をついた

成人の式の翌日に荷物を持ってセールが大都市に向った

それを見送ったシンザがその足でセールの師匠の元へ向かった

何とか弟子入りを許可されたシンザが自室でセールに手紙を書いていた

セールを驚かせるために後で出そうと書き終えた手紙に日付を書き足してから引き出しに仕舞った


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