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大切な人たちとの日々  作者: MIK
蕾がほころびると
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第三十一話 シンザ(元ノラ)とセールと少々イオ

シンザの部屋まで荷物を運んだセールが部屋から出て行くとシンザがそのままドアにもたれかかってため息をついた

「シンザ」

ドア越しにセールの声が聞こえてシンザがドアを開けようとすると、それを遮るようにセールが話しかけた

「いつかちゃんと話してくれ、きちんと聞くから」

声が聞こえなくなったので慌ててドアを開くと、去って行くセールの後ろ姿が見えた

その後ろ姿を見たシンザが駆け寄ってセールの背中に抱き付いた

「セールは・・・」

シンザの声を聞いて泣いているのに気付いたセールが驚いた

「シンザ!?」

振り返ろうとしたセールは抱き付いているシンザが腕に力が込めると動きを止めた

「セールは私が泣いてばかりだと、わたしのこと嫌いになる?」

「なるわけないだろう!」

シンザの言葉に被るくらいの早さで否定したセールにシンザが腕の力を緩めた

「じゃあ、どうしてあんな顔で見下ろしていたの?綺麗に出来た冠を見せたのに無視したの?待ってたのに戻ってこなかったの?」

必死に問いかけるシンザの腕から徐々に力が抜けていって、とうとうセールの体から離れてしまった

「やっぱり、私のこと嫌い?」

セールは振り返ってシンザの手を掴むとシンザの部屋の方へ歩き出した

シンザの部屋に入って机の上を確認し始めたセールを見て、シンザが不思議な顔をした

「何をしているの?」

「あれ、確かに置いたのに・・・」

セールは呟くと机の下を覗き込んだ

「あ、あった!っいた・・・」

探していたものを見つけて声を上げたセールが鈍い音とともにうめき声を上げた

シンザが慌ててセールの元へ駆け寄ってしゃがみこんだ

「大丈夫!?」

頭の後ろをさすりながら机の下から顔を出したセールが手に持っていたメモ用紙をシンザに差し出した

受け取ったシンザがメモ用紙に目を落とす

シンザが読み終わったメモ用紙を大事そうに自分の胸に押し当てた

「あの時自分がどんな顔をしていたかは自分でもわからないが、イメージが湧かなくてぼーっとしていたのだけは覚えている」

呟くように話し始めたセールの顔をシンザが見つめた

「お前のお蔭で師匠に合格をもらえたのに、寂しい思いをさせて悪かった、すまない」

セールが優しくシンザの頭を撫でながら謝った

「私の方こそごめんなさい、自分のことばかりであの時セールが大変だっだなんて考えもしなかった」

シンザがうつむくとおろしている前髪がさらさらと落ちてきてシンザの顔に影を落とした

しばらくシンザに見とれていたセールがシンザの頬を伝う涙を見て我に返る

そっとシンザを引き寄せて軽く抱き締めると優しくあやすように背中を撫ぜた

落ち着いたシンザが顔だけを動かしてセールを見上げて言った

「デザイン画、見たい」

「ああ」

先にセールが立ち上がると立ち上がろうとしていたシンザに手を差し出した

その手を取ってシンザが立ち上がると、そのまま手をつないでセールの部屋に向った

階下からそっと様子を伺っていたイオが手をつないで歩いて行ったシンザとセールを見て呟いた

「やれやれ・・・」


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