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大切な人たちとの日々  作者: MIK
蕾がほころびると
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第三十話 シンザ(元ノラ)と医務室の先生とセール

寝不足でふらふらしているセールがふと顔上げると、道の反対側の少し離れたところにシンザを見つけた

隣に男の人の姿を見つけて何故か苛立ったセールが、足早に道を渡り2人に近づくと話し声が聞こえた

「先生、荷物を持っていただいてありがとうございます」

「いや、寮の()()()()がよろしくと言っていたよ」

先生の言葉に吹き出したシンザを見たセールが違和感を感じて首を傾けた

「私もまた遊びに行きますと寮の()()()()に伝えていただいていいですか?」

「わかった、伝えておくよ」

シンザの顔が見えていないことに気付いたセールが違和感の正体に気付いた

「シンザ、髪型変えたのか?」

セールの呟きにシンザがパッと首を動かした

痣を隠すためにおろしていた前髪のせいで少し離れて横に立っていたセールに気付いていなかったシンザが驚いた

「うん、ちょっと気分転換に変えてみたの」

「そうか、先生に送ってもらったのか?」

「うん」

セールが先生に頭を下げた

「シンザを送っていただいてありがとうございました」

「ああ、これから家族と合流するついでだから気にしなくていい」

「楽しんできてくださいね」

「ああ、ありがとう」

先生はセールと話終わるとシンザに軽く手を上げてからそのまま歩いて行った

「寮のお泊りは楽しかったか?」

「え、ええ、素敵なお姉さんの友達が出来たわ」

「そうか、よかったな」

「ありがとう」

セールがシンザの持っていた荷物をさっと取り上げると自分の肩にかけた

「帰るか」

「ありがとう、セール」

セールとシンザはしばらく無言で道を歩いた

セールが玄関のドアを開けたところでシンザを振り返った

「シンザに見て欲しいものがあるんだ」

「何?」

嬉しそうな顔をしたセールが口を開きかけた瞬間玄関先に風が吹き抜けた

シンザがスカートを押さえるために下を向くと前髪が風に舞い上がった

シンザが慌てて前髪を押さえようとした手をセールが掴んだ

セールが片手でシンザの手を掴みながら、もう片方の手でシンザの前髪をかきあげた

まだ、薄っすら痣の残る額を見たセールが顔しかめた

「シンザ?」

「転んだの」

「いつ?」

自分と視線を合わせないようにうつむいて黙ってしまったシンザを見て、セールが眉間に皺を寄せた

「これ、治りかけだよね」

さらに自分がシンザの上げた手を掴んだために肘まで露わになっている手にも薄っすら赤い線が数本入っているのを見つけたセールがシンザの顎を掴んで顔を上げる、目を閉じてしまったシンザに問いかける

「シンザ、俺には隠すの?」

セールの悲しそうな声にシンザが閉じていた目を開くと、目の前に今にも泣きそうなセールの顔があった

「ちょっと動揺して走ったら転んだだけなの」

「本当?」

「本当にそれだけ!」

「わかった」

「シンザ、ごめん、気付いてあげられなくてごめん」

セールが謝りながらシンザを抱き締めた

「セールは何も悪くないよ?」

セールが慌てて体を離してシンザの顔を覗き込んだ

「ありがとう」

セールが呟いた

「ああ、そう言えばラン姉さんたちに子供が産まれるらしいぞ、それも双子らしい」

玄関のドアを開けて中に入ると突然明るい声で話し出したセールの背中をシンザが切なそうに見ていた

「一緒に式を挙げたリュイさんたちのところも産まれるらしい」

「そっか、楽しみだね」

「ああ」


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