第三話 アズールとベルデとリュイ(&男の人)、他の皆様
去っていった人たちを見ながらベルデが呟いた
「最上級生の人もいた気がするような」
「前に討論したら盛り上がってしまってそれから友達になったんだ」
「へえ」
「討論の議題を聞きたい?」
それ以上詳しく聞いてはいけない気がしたベルデが笑って誤魔化した
荷物を素早くまとめたアズールがベルデに向き直ると笑った
「さあ、リュイのお見舞いに行こうか」
「ええ」
2人は途中で見舞いの品を買ったが、ベルデが一つ買うごとにアズールが笑うので怒ったベルデが何度もアズールの足を踏んだ
「へえ、リュイの好物ばっかりだね、流石だね」
「もー///」
「ベルデ、ここからは静かにね」
アズールがそっと角からリュイの家の前を見ていた
「どうしたの?」
ベルデが声を潜めながら角から顔を出すと、リュイの家の前に人だかりが出来ていた
「え?」
良く見ると取り巻きの人たちが押しかけているようなのがわかった
アズールがベルデの手を引いて反対側へ歩き出した
しばらく歩くと木の扉の前で止まった
どうやら裏口のようだ
アズールが扉をノックすると、中から鍵を開ける音がしてから扉が開いた
アズールがそのまま入っていくのでベルデが慌てて中に入ると、男の人とアズールが挨拶して見舞いの品を渡しているところだった
男の人が近付いたベルデに気付いてこちらに顔を動かしたが、ベルデと目が合うと目を見開いて走り去ってしまった
「え、何で?」
苦笑いをして歩き出したアズールに着いて行くと怒鳴り声が聞こえた
「誰も通すなって言っただろう!何も受け取るな!放って置いてくれ!」
ベルデがハッとした顔をした
「ですが!!」
「何だ・・・」
「いらっしゃったのは、アズール様とベルデ様です」
「アズールか仕方ないな・・・は?お前今何て言った?」
「ですから、ベルデ様と申し上げました」
「なんだって!!」
何かが壊れるような音が辺りに響き渡った後突然部屋の中が慌ただしくなった
口を手で押さえて、涙目になりながら声を出さないで笑っているアズールをベルデが冷めた目で見ていた
部屋の中が静かになると、部屋の中から先ほどの男の人が出て来た
「アズール様、ベルデ様、どうぞ中へ」
「あれは?」
「そのままの場所に、ただ、布をお掛けになられました」
「そうか、ありがとう」
「いえ」
アズールと話した後ベルデに向き直ると何故か頭を下げた
「ベルデ様、リュイ様をよろしくお願いします」
「え、あ、はい」
「ありがとうございます、では失礼いたします」
ベルデの返事に笑みを浮かべると去っていってしまった
アズールが部屋のドアをノックすると中からリュイの声がした
「見舞いに来た」
「ありがとう」
先に入ったアズールがリュイと言葉を交わすと後ろにいたベルデを前に押し出した
「アズール!?」
ベルデが驚いて声を上げるとリュイがくすくす笑った
「やあ、ベルデ」
しばらく互いに見つめ合っているとベルデの背後で物音がおこり、ソファーから立ち上がったリュイが焦った声を上げた
「っ!?」
リュイにどうしたのと聞こうとしてベルデが口を開いた瞬間、アズールがベルデの目を後ろから抱きしめる様にして手で塞いだ
そのまま体の向きを変えられ、アズールはすぐに目から手を離した
「え!?」
目の前の部屋の一角に写真が飾ってあった
良く見ると全部自分の写真だった
「アズール、いつまでくっついている気だ」
わけがわからなくて呆然と立ち尽くしていると、腕を引かれて抱き締められた
物凄く近いところからリュイの苛立った声が聞こえる