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大切な人たちとの日々  作者: MIK
蕾がほころびると
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第二十九話 シンザ(元ノラ)と女の人とセールとイオ

いつの間にか眠ってしまっていたシンザが目を覚まして、ベッドから起き上がりドアを開けるといい匂いがして思わずお腹が鳴った

その音にキッチンにいた女の人が顔を上げた

「あら、もう起きたの?スープを作ったから薬を飲む前に食べましょう」

「さあ、どうぞ」

「いただきます」

温かいスープを飲み始めたシンザが静かに涙をこぼし始めた

次第にしゃくり上げるように泣き始めたシンザの手から器を取り机の上に置いた女の人がシンザの隣に座って背中を撫でた

そのまま、シンザが落ち着くまで背中を撫でていてくれた

「偉かったわね、良く頑張った!あなたは良い子ね」

シンザが優しく話しかけてくれた女の人に泣き腫らして赤くなった目のまま微笑んだ

「もう、大丈夫ね」

「はい」



イオが遅めの夕食を食べていると、嬉しそうなセールが食堂に入って来た

「あれ、シンザは?もう、部屋?」

「ああ、シンザならしばらく学校の寮に泊まることになったの」

「へぇ、そうなんだ」

「ええ、シンザに何か?」

「いや、今度でいい」

「そう」

「じゃあ、おやすみ」

「ええ、おやすみなさい」

セールが少しがっかりしたように食堂から出て行ってから、イオがため息をついた

「何で今なのよ・・・」

他に誰もいない食堂にイオの呟きが落ちた


自室に戻ったセールはポケットからやっと師匠に合格を出してもらえたデザイン画を出して眺めた

大事そうに机の上に置くと、メモ用紙を手に取り何かを書き始めた

デザイン画におもしを置くとメモ用紙を手に部屋を出た

誰もいないシンザの部屋のドアが開くとメモ用紙を手にしたセールが入って来た

部屋の中をちらりと見渡してシンザがいないのを改めて確認すると、机の上に持っていたメモ用紙を置いた

【シンザへ

シンザのお蔭でやっと師匠に合格をもらえた

ありがとう

今度帰って来たとき、デザイン画見てくれ

セール】

せールはそのまま部屋を出た

ドアをしめるときにおこったわずかな風で、落ちたメモ用紙が机の下にひらりと滑り込んだ



「若いっていいわね」

女の人が微笑みながら、シンザの手当をしながら話しかけた

「傷の治りが早いわ、これなら痕は残らないわ」

「いつも、ありがとうございます」

「何言ってるの、あの子が結婚してなっかったらお嫁に欲しいくらいだわ」

「え?」

「ふふふ、傷が治ってもまた遊びに来てね」

「はい!」

「これで、よし、顔の方も痣の色が落ち着いてきたわね」

「あんなに酷い色は私も始めてみました」

鏡で顔を見て驚いたことを思い出したシンザがくすくす笑った

「全く、もっと自分を大事にしなさい」

「はい」

「返事は良いんだけどね・・・」

微笑みながら呆れたような声を出した女の人とシンザが顔を見合わせて笑い声を上げた

最初はクラスメイトたちが女の人を通じて授業のノートを届けてくれた

擦り傷がふさがってからは顔の痣が目立たないように髪で隠して授業に参加した


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