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大切な人たちとの日々  作者: MIK
蕾がほころびると
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第二十六話 シンザ(元ノラ)と幼稚な男の子たちとクラスメイトたちと医務室の先生と少々セール

セールは自室で学校卒業とともに弟子入りをした師匠から出された課題に取り組んでいた

紙に何かを書いては消すを繰り返して紙が汚れて使えなくなると新しい紙を取って書き始めた

それをしばらく繰り返すと、頭をがしがしと掻いて机に突っ伏した

不意に開け放してある窓の外から楽しそうな笑い声が聞こえて来た

窓から顔を出して下を見ると、イオとシンザが綺麗に咲いた花で冠を作って互いの頭に乗せ合っていた

ぼーっと見ていると、急にきょろきょろし始めたシンザが突然顔を上げた

セールと目が合うと自慢するかのように冠を両手で持ち上げ、満面の笑みを浮かべてセールを見た

シンザの笑顔を見た瞬間、セールの中にイメージが浮かび上がった

忘れないうちに書きとめるために慌てて机に向かう、書き上げたときには外は薄暗くなり始めていた

冷たい風に驚いて慌てて窓を閉める

そのまま、カーテンを引こうとしてふと下を見下ろしたがそこにはもう誰もいなかった



ある日、数人の男の子たちがシンザを取り囲んではやし立てていた

「ずっと、兄ちゃんと一緒なんて赤ちゃんみたいだな」

「そうだ、そうだ」

「あはは、赤ちゃん!」

親に連れられて結婚式に来ていた数人の男の子たちがシンザにちょっかいをかけてくるようになっていた

いつもは、簡単に無視できたはずなのに随分イライラしていた

楽しいことを考えようとしたシンザの頭に浮かんだのは、昨日無表情でシンザを見下ろし、笑いかけるとそのまま部屋の中に戻ってしまったセールのことだった

しばらく、呆然と窓の下で立ち尽くしていたシンザにイオがセールは今課題で大変なのよと教えてくれた

イオに手を引かれて部屋に戻ると、毛布を巻き付けられて温かいお茶の入ったカップを渡された

そのカップを手に持って始めて、自分の体が冷え切っていることに気付いて驚いたシンザの背中をイオが優しく撫ぜた

自分を見下ろしたときのセールの顔を思い出して、泣きそうになり俯くと顔を覗き込んで来た男の子たちがさらに声を上げてはやし立てた

「こいつ、泣いてる!」

「赤ちゃんだから仕方ないよ!」

「しかたないでちゅねー、あはは」

シンザはギュッとこぶしを握りしめるとそのまま無言で歩き出した

無視されて何かを叫び出した男の子たちに背を向けて教室を目指して走り出したシンザにその内のひとりが叫んだ

「泣いてばっかりだと大好きな兄ちゃんに嫌われるぞー!!」

その言葉を聞いた瞬間シンザの目から涙が溢れ出し前が見えなくなってしまい、段差に気付かずに思い切り転んで顔を床に打ち付けた

その音を聞いた男子たちが急に静かになって、ざわざわし始めた

シンザはよろよろと立ち上がるとそのまま教室まで歩き続けた

教室に入って来たシンザを見たクラスメイトたちが短い悲鳴を上げてシンザに駆け寄って来た

「どうしたの?」

「段差に気付かないで転んじゃった・・・」

笑おうとして痛みに顔をしかめたシンザを見たクラスメイトたちが何かを察して顔を見合わせると半数が教室を飛び出して行った

残った半数は軽く言葉を交わしてから散らばって行った、残った数人でシンザを支えるとゆっくり医務室まで連れて行った

クラスメイトに支えられて入って来たシンザを見た先生が慌てて駆け寄って来た

「どうしたんだい?」

「段差に気付かないで転んでしまって・・・」

シンザの言葉に眉をしかめながらもテキパキ処置を施していく

「足も手もひねっていない、ただ、顔は腫れると思うし、あちこち軽い打撲と擦り傷が出来ている」

「そうですか、どれくらいで治りますか?」

すでに腫れて熱を持ち始めた顔を見た先生が冷やしタオルをシンザに手渡した

「顔以外は1,2週間あれば大丈夫だと思うけど・・・」


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