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大切な人たちとの日々  作者: MIK
すれ違いと真っ向勝負
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第二十二話 アズールとランと少々イオとセールとシンザ(元ノラ)

ランの部屋のドアをノックすると中からランの声がした

ゆっくりドアを開けて中に入ると、ランが机に向ったまま話しかけて来た

「下が騒がしかったけど、何かあったの?」

どうやら、セールが入って来たと勘違いしているようなので、そのままこちらに背を向けているランに少し近づいてから声をかけた

「突然俺が来たのでセールが驚いただけです」

「えっ!?」

ランが慌てて椅子から立ち上がって振り向いた

「ア、アズール!?」

「はい、お邪魔しています」

「ええ」

ランとアズールはしばらく見つめ合っていたがランが先に顔を逸らした

「お茶でも淹れてくるわね」

「いえ、今お茶はいりません」

「そう?」

今にも部屋から出ようとしていたランがアズールの言葉に動きを止めた

アズールがランの前まで歩いて来て立ち止まり頭を下げた

「すみませんでした」

「え?」

アズールが頭を下げたまま続けた

「何年もあなたを避けていました」

「っ!」

ランの声に弾かれたように顔を上げたアズールが、ランの顔見て目を見開く

声を出さずにぽろぽろ涙をこぼしているランにアズールが手を伸ばしたが、途中でその手を止めてそのままおろした

それを見たランがアズールに抱き付いた

「ラ、ランさん!?」

ランを抱きとめたアズールが慌てた声を上げると、ランがアズールを見上げた

「避けるくらい私のことが嫌い?」

「違います!好きです!!」

アズールが慌てて叫んだ

「?」

「ぁ」

ランがあ然とし、アズールが情けない声を上げた

「え?避けるほど嫌いなんじゃ・・・」

「違います!!」

驚いて涙の止まったランにアズールがほっとしながらはっきり言った

「俺はランさんが好きです」

「本当?」

「避けていたのは、ランさんの周りにいる人たちに嫉妬していたからです」

「ランさんから直接言われたわけじゃないのに噂を信じて勝手に落ち込んで・・・」

「もしかしたら、ランさんを避けることで自分を気にしてくれるんじゃないかと心のどこかで思っていたのかもしれません」

「その癖ランさんがちゃんと自分と向き合ってくれても、この間のようにただ不快な思いをさせるだけしかできなくて、すみません」

まるで息継ぎを忘れたかのようにしゃべり続けるアズールをランが背中に回していた手に力を込めてギュッと抱き締めた

自分を見下ろして、首を傾けたアズールにランが話しかけた

「私も同じなのよ」

「アズールに避けられていると気付いたときにはどうすればいいのか分からなかった」

「その内、私の知らない人たちに囲まれているのを見る度嫉妬してたの」

「外で会えなくても、私にはセールやイオ、シンザがいるから大丈夫なんだって何もしなかった」

「それに、この間アズールを不快に思って手を払ったわけじゃなくて・・・」

「自分の気持ちに気付いて動揺して泣いたのを見られて恥ずかしかっただけで、本当はこうして触れ合えるのが嬉しいの」

頬を染めて自分を見上げたランに、アズールが触れるのを堪えるために握りしめていた手を開くとランの背中に回して思い切り抱き締めた

腕の中で嬉しそうに笑ったランの額にアズールが口付けを落とし、そのまま耳元に口を近づけてささやいた

「幸せ過ぎて気絶しそうです」

耳まで真っ赤になったアズールを見て、ランがくすくす笑った

「私はもう少しこうしていたいから、まだ気絶しないでね?」

「善処します」

真面目な顔をして答えたアズールにランが声を上げて笑った

ドアの外で聞き耳を立てていたイオが少し離れたところでシンザを抱き上げて待機していたセールに向って腕で頭の上に丸を作った

それを見たセールがほっとしたような顔を浮かべて静かに階下に降りて行った

イオもすぐに音を立てないように気を付けながらその後を追った

「時間が勿体ないからすぐに許しをもらわないと・・・」

アズールがそう呟いて何かを考え始めた

考えながらランの髪に手を置くとそのまま優しく撫で始めた、時々くすぐるように動く指にランが小さく声を上げるとアズールが慌てて手を離した

「ごめん、つい・・・」

「大丈夫よ」

謝るアズールにランが微笑みながら擦り寄ると、アズールが口元を緩めた

微笑んでいたランがハッとしたようにアズールを見上げた

「私以外の人にはしちゃ駄目よ?」

「ランさん以外の人をこんな風に抱き締めませんよ?」

ランとアズールが顔を見合わせて笑った


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