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大切な人たちとの日々  作者: MIK
すれ違いと真っ向勝負
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第十五話 アズールとセールとイオとシンザ(元ノラ)と少々ラン

ノラはランの家の庭にある日当りのいい少し高くなっているところに埋めることにした

4人は赤くなった目にノラの姿を焼き付けるかのようにじっと見てから、穴の中に静かにノラを横たえた

赤みの強い橙色の毛が段々、土に埋もれて見えなくなっていく、ガラス細工のように澄んだ茶色の目も、もう見ることは出来ないけれど、それぞれの心の中にしっかりと“ノラ”を刻み込んだ

4人は黙々と作業を続けた

場所がわからなくならないように上に石を綺麗に積み上げた

「よし、出来た・・・」

アズールが呟いた

「ノラは気に入ってくれたかな?」

イオが心配そうに言うとセールがしゃがみ込んで石を撫ぜた

「きっと、大丈夫だよ」

アズールが自分の足をみて首を傾けると、セールがビクッと指先を見つめ、イオがくすぐったそうに体をよじり、ランが自分の足元に手を差し出した

ウニャァーン、ごろごろ

4人が一斉に顔を見合わせて声を上げて笑った

「全く、最期まで猫らしくない気遣いをするんだな」

アズールが呆れたような声を出した



ランの研修先が決まり、イオに妹が産まれた

ある日ノラに会いにランの家に顔を出すと、セールとイオが目を潤ませてアズールを出迎えた

2人に引きずられるようにしてベビーベッドの前まで連れて来られたアズールが中を覗き込んで目を見開いた

ベビーベッドの中で赤みの強い橙色の髪をした赤ん坊がすやすや眠っていた

まだ髪が短くて分かりづらいが、そっくりな髪の色にアズールが顔を近づけて見ていると、赤ん坊がぱちりと目を開いた

赤ん坊の澄んだ茶色の目を見たアズールが呟いた

「ノラ・・・」

アズールはイオの前にしゃがむと微笑みながら尋ねた

「イオ、この赤ん坊の名前は?」

「シンザです、女の子です」

「ありがとう」

アズールはイオの頭を優しく撫ぜると立ち上がってベビーベットを覗き込んだ

先ほど目を開いた赤ん坊がすでにすやすや眠っているのを見たアズールが呟いた

「元気に大きくなるんだよ、シンザ」

そのまま赤ん坊を見つめていると袖を引かれたのでそちらを見ると、セールがじっとアズールを見つめていた

「姉ちゃん、もうすぐ帰って来るよ?」

「そうか、今日は用事があるからもう帰らないといけないんだ、また今度来るよ」

セールは袖から手を離さずに悲しそうな顔でアズールを見た

「姉ちゃんと喧嘩したの?」

「最近すれ違いになっているのは気になってはいるけど、仲良しだよ」

「ほんと?」

「本当だ」

セールが袖から手を離して嬉しそうに笑った

それを見たアズールがセールの頭をぐしゃぐしゃと撫でまわした

「今日はもう帰るね」

「またね」

「気を付けて」

「ありがとう」

ぼさぼさの頭のまま嬉しそうに手を振るセールと、セールの頭を見てくすくす笑いながら手を振っているイオに手を振り返してランの家を後にした

アズールは自室の椅子に座るとそのまま机に突っ伏した

「駄目だ、やっぱり気恥ずかしくて顔を合わせられない」

あの時は意識していなかったことを不意に思い出すと気恥ずかしくて、アズールはランと顔を合わせられずにいた

「子供は鋭いな・・・」

頭をがしがしとかいてから顔を上げたアズールは机の上に飾られたノラの姿絵に話しかけた

「ノラ、何でこんなに気恥ずかしいんだろうな」

もちろん返事があるはずもなく、アズールはまた机に突っ伏した


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