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大切な人たちとの日々  作者: MIK
猫らしくない猫を飼い、子守をする
14/94

第十四話 アズールとノラ(元野良猫)とランとイオとセール

ランがアズールに近づくと、頭を下げた

「ありがとう、アズール」

無言でアズールの腕からノラを受け取るとタオルの上におろした

そのままノラに近づこうとしたアズールの腕をランが掴んで止める

驚いたようなアズールの腕の消毒をテキパキと終わらせると、そのままでいいのにと呟いたアズールを化膿したらどうするのと優しく宥めた

その後、ランはお湯で湿らせたタオルをアズールに渡し一緒にノラの体を拭き始めた

無言でノラの体を拭いていたアズールの目の縁が赤くなっているのに気付いたランがアズールの手からそっとタオルを取って抱き締めた

「ごめん」

アズールは小さく呟くと声を殺して泣き始めた

ランはアズールの背中をあやすように撫ぜながら、イオに目配せをした

イオはセールの手を引いて部屋を出た

部屋のドアが閉まる音とともに静まり返った部屋の中にアズールの呻くような低い声が響いた

ランはしばらくして落ち着きを取り戻したアズールとノラの体を綺麗に拭くとセールの部屋に移動した

往診に来た医者に言われたことを傍についていたイオがランとアズールに小声で伝える

セールは医者に処方された薬で眠っていた

「頭を打ち付けたり捻挫したりはしていないから傷が化膿しなければ大丈夫だってお医者様が言っていました」

「ありがとう、イオ、あなたも辛いのにセールについていてくれて」

ランがイオに微笑んだ

「イオ、ありがとう」

アズールがイオの頭をぽんぽんと軽く叩いた

「私はお姉ちゃんだからしっかりしないと!」

自分に言い聞かせるように呟いたイオにランとアズールが僅かに微笑んだ

ベッドの傍に置いた椅子に座ったイオがセールの手を握ったまま眠ってしまったので、毛布をかけて部屋を出る

ふらふらと帰ろうとするアズールをランが引きとめた

「お家にはこちらから連絡しておくから今日はノラの傍にいてあげて」

ノラが横たえられたタオルを乗せた机の傍のソファーを動かして整えられた部屋を見てアズールがゆっくりと頷いた

「アズール、今日は本当にありがとう」

一瞬ためらってからランが続けた

「あなたが、あなたとノラがいなかったらセールは・・・」

「いえ、俺たちに気付いて道を渡ろうとしたんです、だから・・・」

床に視線を落としながら話すアズールにランが寄り添った

「あなたはセールに悪くないって言ってくれたわ、だから!」

ランはアズールの頬を両手で挟んで視線を自分とあわせると一言一言はっきりと言った

「今回のことは、誰も、悪くないの」

アズールの目から涙が一筋零れ落ちた

「何か用があったらそこのベルを鳴らしてね」

「はい、ありがとうございます」

ランが部屋のドアを閉めるとアズールはノラをタオルごと抱き締めて座り、ノラを撫でながらゆっくりと目を閉じた

「そう言えば、始めて会ったときは威嚇されて、逃げられたんだっけ」

アズールが呟いてからくすくす笑った

今までを思いかえして呟きながらアズールはノラを撫で続けた

明け方いつの間にか眠ってしまっていたアズールはノラに頬を舐められたような気がして目を覚ました

肩にはいつの間にか毛布がかけてあった


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