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大切な人たちとの日々  作者: MIK
猫らしくない猫を飼い、子守をする
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第十三話 アズールとノラ(元野良猫)とセールとランとイオ

ノラを腕に抱き背中を撫でながらのんびりランの家に向っていたアズールを見つけたセールが叫んだ

「ノラ!兄ちゃん!」

ノラがアズールの腕に乗せていた頭を上げてンニャと鳴き、アズールが片手を上げた

きちんと周りを見渡してからこちらに向って駆け出したセールを見てアズールが口元を緩めた

突然、けたたましい音が聞こえた

自動車が大きな音を立ててセールに向って走って来た

恐怖で動けなくなっているセールを助けようとアズールが動いた瞬間、腕に鋭い痛みを感じて見下ろすとノラが腕に噛みついていた

ノラはすぐに顔を上げ口元に僅かに血を付けたままじっとアズールを見ると、腕の中からするりと抜け出しセールのもとに駆け寄って体当たりした

「ノラ!セール!」

自動車はそのまま視界から消え、しばらくして何かが崩れ落ちる音が辺りに響き渡った

アズールが砂煙の中、目を凝らして周りを見渡すと、咳き込む声が聞こえた

声を頼りに進むとセールが体中に擦り傷をつくりながらも自分で立ち上がったところだった

「ノラ、どこ?ノラ!」

セールが咳き込みながら声を上げる

アズールはセールを支えながらノラを探した

セールとアズールの声が響く中、微かに鳴き声が聞こえた

落ち着いてきた砂煙の中にノラを見つけてアズールとセールが駆け寄った

ノラは駆け寄って来たセールを見て僅かに身体を動かした、セールが慌てて傍にしゃがんでノラに手を伸ばした

ノラはセールの手をぺろりと舐めるとウニャァーンと鳴いて、そのまま全身の力を抜いた

音に気付いて周りに人だかりが出来ていた

その人だかりをかき分けてランが2人に駆け寄った

アズールは泣きじゃくるセールをランに頼むと、目を閉じたまま動かないノラの体を抱きかかえた

そのままふらふらと歩き出したアズールに自然と人だかりがわれた

ランはせールの手を引きながらアズールの後を追い、アズールの手を掴むと自分の家に向った

体中に擦り傷をつくったセールと動かないノラを抱きかかえたアズールを連れてランが家に入ると温かいお湯や消毒液など手当に必要なものが準備されていた

イオがランと何か話した後、セールの手を取ってソファーに座らせようとした

セールはその手を振り払い真っ赤になった目を汚れた服の裾でごしごしと拭ってからアズールの前に立った

アズールを見上げて口を開いたセールの目から涙が零れ落ちた

涙を服の裾で拭おうとして顔を下げたセールの目に動かないノラが映った

歯を食いしばったセールはそのまま俯いた、床にセールの涙が次々落ちた

声を上げずに両手を固く握りしめ俯いたまま泣いているセールの頭をアズールがぐしゃぐしゃと撫ぜると、セールがしゃくり上げながらアズールに縋り付いた

「ご、ごめんなさい、ノラが、ノラが僕のせいで・・・」

「兄ちゃん、ごめんなさい」

繰り返し繰り返し謝るセールが落ち着くまでアズールは頭を撫で続けた

落ち着いて来たセールの前にしゃがむとしっかり目を合わせてから話しかけた

「大丈夫、セールは悪くない、ちゃんと確認した」

「でも!」

「セール、ノラは自分から君を助けに行ったんだ、君が無事で喜んでいたよ」

アズールが服の袖をめくるとノラが俺を噛んで自分が行くと言ったんだよと噛み痕を見せながらセールに優しく微笑みかけた

「っ!?」

「だから、大丈夫、セールは悪くないよ」

アズールがセールに言い聞かせるように一言一言はっきりと言った

「ノラがいなくなるのは寂しいけど、セールが無事で本当に良かったよ」

そう言うとアズールはノラを腕に抱えたままセールをしっかり抱きしめた

アズールがセールの背中を押し出すと目を真っ赤にしたイオがセールの手を引いてソファーに座らせ傷の消毒を始めた

セールはずっと目から涙をぼろぼろこぼしながらイオを見下ろしていたが、イオからそっとタオルを差し出されるとタオルに顔をうずめた


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