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大切な人たちとの日々  作者: MIK
世話を焼く
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第一話 アズールとベルデ

一人の少年が公園を歩いている

真っ直ぐガゼボを目指し、中へ入ると定位置に座って鞄の中から一冊の本を出した

目を細めて嬉しそうに表紙を眺めた後、本を開いて読み始めた

「ちょっと!アズール!!」

少し息を切らしながら少女がガゼボに駆け込んで来た

「なんだ、ベルデか」

本を読みながら声だけを返したアズールにベルデが怒鳴った

「なんだとはなによ!!」

「煩いな、何の用だ」

やっと本から顔を上げて自分の方を向いたアズールをベルデがキッと睨んだ

「用がないなら、俺は本を読みたい」

睨まれたアズールは不機嫌そうに顔をしかめた

「ちょ、ちょっと」

そのまま本に顔を戻したアズールにベルデが慌てて声をかけた

「だから何だ」

アズールはため息をついて本を閉じてからベルデを見た

「リュイは?」

「リュイのことなら俺よりもあいつの取り巻きに聞けばいいだろう?特に女子に」

「聞いたら風邪で休んでいるから、お見舞いに来てってお願いされたわ、知らないの?まあ、知ってるわけないわよね!うふふ、って喧嘩売られた」

「そうか、で、買ったのか?」

「買ってたら今ここにいないわよ・・・」

アズールの問いかけに答えるベルデの声が段々小さくなっていった

「へぇ、短気で喧嘩早いお前が珍しいな、どうした、風邪でも引いたか?」

「アズール!!」

泣きそうな顔でこちらを見ているベルデにアズールが首を傾げた

「ベルデ、どうした?」

「アズールも心配じゃないの?」

「いや、別に」

アズールの言葉にベルデが声を荒げた

「別にって、1週間も休んでるんでしょ!!」

「は?」

アズールが間が抜けた返事をした

「ぇ、違うの?」

「ああ、リュイがわざわざお前のクラスに行かなくなってから1週間だが、休んだのは今日だけだ」

真顔で言い切ったアズールの顔をじっと見ていたベルデが叫んだ

「はああああああ!?」

「お前は誰からそれを聞いたんだ?」

「え、誰って取り巻きの女子・・・?」

ハッとしたベルデが地団駄踏んで悔しがった

「“ずっと”休んでるって、騙された!」

「お前らしくないな、そんなに動揺してたのか、リュイが会いに来ないことに」

にやにやしているアズールの足をベルデが踏みつける

「痛い」

「痛いようにしてるのよ」

吐き捨てる様に言ったベルデがアズールに背を向ける

「どこへ行くんだ?」

「やっぱり、喧嘩買ってくるわ、騙すなんて!」

「ちょっと待て」

「何よ!」

「ずっと休んでると言われたのだろう?」

「だから、そう言ってるじゃ、な、、ぃ?」

途中から手で顔を覆って座り込んだベルデにアズールが声をかける

「気付いたか?」

ベルデから返事は無かったがアズールは赤くなっているベルデの耳をちらりと見てにやりと笑った

「別にいつからと言われていないのに、自分に会いに来ないのは風邪で休んでたからだと思いこんだ自分が悪いだけだよな?」

顔を上げたベルデが呟いた

「けど・・・」

「言いたいことは分からなくもないが、無駄に多いあの取り巻き連中はお前にだけ、今までもそうだったろう?」

「うっ!」

アズールの言葉にベルデが顔をしかめた

「お前はそれが嫌でリュイから逃げ回っていたんじゃないのか?」

「俺の勘違いか、そうか、お前はリュイのことが嫌いだったのか」

「嫌いじゃない!けど、私のせいでリュイが皆と楽しくいられないのは嫌だもの」

アズールがベルデを見て深いため息をついた

「何よ!」

アズールは椅子から立ち上がるとベルデの隣にしゃがみ込んだ


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