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黒崎くんは吸血鬼  作者: 工藤啓喜
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第一話

彼は、黒崎蓮。吸血鬼である。


黒崎蓮は、数ヶ月前とある争いに巻き込まれ、瀕死の重症を負った。そこで、“若様”と呼ばれた真祖の吸血鬼は、蓮に自身の身体の一部を与え、蘇生させる。

蓮は、真祖の吸血鬼の手により蘇ったが真祖と同種の吸血鬼となってしまった。


“若様”と呼ばれた吸血鬼は、その際に命を落とすが、彼の生まれ変わりとして、黒崎蓮は真祖の吸血鬼として生きていくこととなる。


そして、黒崎蓮の隣にいる老人の名前は、エルウィン=デア=セルヴァンティス。


見事な白髪と、顔に刻まれた皺が丁度良い具合に味を出していて見た目よりも、ずっと若そうに見える。

だが、この老人、穏やかそうな物腰とは裏腹に若かりし頃は最強にして最悪の存在と謳われ闇の眷属からも同族からも最も恐れられた、最古参の吸血鬼なのである。


二人がいる場所は、K県Y市に近い場所にある、闇の眷族(ナイトメア)と呼ばれる者達が居住している特区と呼ばれると場所である。


特区は、人ならざる者達を囲っている場所で、日本全国に存在し、各都道府県別にあり、王または主と呼ばれる代表者が管理、監視、統治している。


管理している代表者によって様々な特色があり、殺伐としていて、スラムのように荒廃しきったような場所もあれば、ほとんど表の世界と変わらないところもある。


「ここにはなれましたか?黒崎様?」

「あ、ああ。大分…な。」


彼、黒崎蓮はこの特区に来て、数ヶ月が過ぎていた。


蓮は、別の意味でここに馴染めないでいた。


この特区では、道の角を曲がれば当たり前のように羽根の生えた者や、人間よりも巨体な者、生き物かどうかすら怪しい者やら何やらがたくさん存在していて、何度見ても不思議だし、いくら話を聞いても、未だにピンとこなかった。


けれど、自分自身に起きている事は、否が応でもでもわかっていた。


あれは、いつだったか‥‥


少し前に、エルウィンの手伝いをしていた時、誤って指を切ってしまった事があった。深い傷ではなかったが、それなりに痛みは感じるらしく、後で、適当に絆創膏でも貼っておこうと、放っておいたら、凄い早さで、傷が塞がった。


また、こんな事もあった。


街で、ひょんなことから、チンピラに絡まれた時(もちろん、人間ではない)に殴られ、傷を負ったが、その時もすぐに治った。


流石に、変だと思った蓮は、完全な思いつきで、試しに自分の一部を切り落としてみようと思った。もちろん、普通では考えられないことだが、指を切った時と殴られた時の傷の治る早さが、尋常ではなかったから、検証してみようとしたのである。

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