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Samuel
「ペーター!」
殴る。
「お前と言う奴は!」
また、殴る。私は父親として最低であろう。だが、どうすれば良いのだ。床にへたり込んだ息子を抱擁しながら辺り一面に広がる景色を見た。部屋中に広がるのは血、血、血。そしてネズミやコウモリ、黒猫に犬の死体。
何度目だろうか。ペーターが動物の死体を持ってきたのは。
何度目だろうか。ペーターが動物を惨殺する様を目の当たりにしたのは。
ハーメルンの笛吹き男よ。私の息子を、恐ろしいペーター・リヒテルを、母殺しの化け物を、連れて行ってくれ。