表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Richter  作者: 伏見來
2/3

Hellsing

 その吸血鬼、二代目のハーメルンの笛吹き男たる彼、ここでは仮にアルカードと呼ぼう。アルカードはペーター少年の望みを叶えていくうちに別の目的があるだろうことは察していた。ただ、まさかその目的が実の父親を殺させることであろうとは、そう言われるまで気づかなかった、らしい。

 アルカードには目的があった。三代目のハーメルンの笛吹き男を見つけるという目的が。そして、彼の目の前にこそ、おあつらえ向きの存在がいたのだ。

「わかったよ、ペーター。…けど僕からも少しお願いがあるんだ。」

「…なに?」

「君の家の中、一つ一つの部屋にニンニクの花を飾って欲しいんだ。なぁに、軽いおまじないだよ。」

 ご存知ないかもしれないがニンニクの花を吸血鬼は嫌う。

「そして、森に少し入ったところで目を瞑っていて欲しいんだ。君のお父さんをどう殺すか、見られてはいけないんだよ。」

 結果、ペーター少年は彼の言った通りのことをし、当然の如く彼に噛まれた。

 

「これがことの顛末のようです。」

「つまり、野生児ピーターは吸血鬼であると?ヘルシング教授。」

 王室関係者はオランダから来た老教授に怪訝な目を向けながら問うた。

「正確には、異なります。吸血鬼に噛まれた者は不死の呪いを受けます。そうなれば噛まれた者は死ぬまで吸血鬼の言いなり、いわゆる催眠状態となります。そして、その命が終わることで―」

「吸血鬼となる、と。」

 教授の言葉を遮りながら出された結論を聞き、教授は静かにうなづいた。王室関係者はふぅとため息をつきながら、続けた。

「生前、ピーターはろくに人間らしい生活ができなかったそうだが、これもまぁアルカードとやらの催眠、と考えれば合点はいくか。」

「ピーターが死んで百年ほど経ちますが何の被害もないということは吸血鬼としても既に死亡した、と考えても問題はなさそうですな。」

「そうだな。まぁ後はこちらで何とかする。今回は協力感謝する、ヘルシング教授。」

 荷物をまとめ部屋を出ようとする教授に、王室関係者は最後、教授へある疑問について訪ねた。

「しかし、なぜピーター、いやペーター・リヒテルだったのだろうな。」

「私も全てをアルカードから教えられたわけではございませんので。…さて、なぜでしょうな。」

「…不思議だな。」

「しかし、一つわかることもあります。蛙の子は蛙、吸血鬼に子供はできませんが、それぞれのハーメルンの笛吹き男には通ずるところがあるのやもしれませんな。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ