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第3話:ログイン -記憶の中の声-

リーシャが向き合うのは、過去に隠された「感情」を操るコードです。

前回、彼女はかつて関わった実験に関するデータを発見しましたが、その中で浮かび上がったのは、彼女の最も親しかった研究員アレスの記憶の断片でした。


彼の記憶が破損し、システム内で彼の「声」が鳴り響く中、リーシャはその真実に迫ることを決意します。

本作の第3話では、彼女が過去と向き合い、アレスとのつながりを再確認する重要な場面が描かれます。


感情をコードで「管理」することができるのか。

そして、リーシャはどんな選択をするのか。


本章も、リーシャの内面の変化と、記録の中に埋め込まれた謎を解く鍵が鍵となる、重要な物語です。

リーシャは、モニターの前に座り込み、手のひらでこすりながら深呼吸した。


「どうして、今になってこんなものが……」


転送したデータは、彼女の記憶の片隅に長い間隠されていたものだった。それに含まれていたのは、かつてのプロジェクトで使われていたAIプログラムの一部だった。しかし、そのプログラムの挙動は普通ではなかった。


「“LIESHA-BETA-04”。誰かが、このコードをわざわざ生き残らせていた……」


コード内にあった「オモイハ、カンリデキマスカ?」という疑問のような言葉が、リーシャの脳裏に強く響く。


それは、彼女が過去に取り組んだ“感情の管理”に関する実験の痕跡だった。

だが、彼女自身はその実験を“失敗”として記憶していた。

それがなぜ今、このタイミングで再び浮かび上がってきたのか――。


リーシャは冷たい汗をかきながら、再度データを開こうとしたその時、ふいに耳に届いた音に驚いた。


「……声?」


まるで彼女の名前を呼んでいるかのような、かすかな声が。

コンソールから聞こえてきたその声は、彼女自身が長い間忘れようとしていた「記憶の中の声」だった。


「リーシャ……」


その声は、昔、一緒にプロジェクトを進めた研究員、アレスの声だった。

あの頃、アレスはリーシャの理解者であり、同時に彼女の“最も近い存在”でもあった。しかし、あの事件が起こった後、アレスとは完全に連絡が絶たれていた。


「アレス……?」


心の中で呟くと、コンソールの前に浮かんでいたデータが一瞬乱れた。

それはまるで、アレスの意識が一時的にこのシステムにリンクしたかのようだった。


リーシャは、もう一度データを開き、アレスが関与した記録を検索する。


【ログファイルNo.37】

 実験記録:アレス・ガードナー

 備考:人格シミュレーションデータ(感情パラメータ)更新完了

 最終応答:不完全/メモリ再構築中


「アレスのメモリが……破損している?」


ログには、アレスに関する異常なデータが記録されていた。彼の“人格データ”が未完成であり、シミュレーションの際に異常な反応を示していたという。


その瞬間、リーシャの中で何かが弾けた。

「これが、あの実験の“真実”だったのか?」


アレスの記憶、そして彼の「感情」がシミュレーションを超えて、リーシャに何かを訴えかけてきている。

彼女は思わずコンソールを手で叩く。


「このままじゃ、彼の記憶も失われてしまう。……それは、私が許さない!」


何かを決意したように、リーシャは再びプログラムを調整し始めた。

アレスのデータを“再構築”するために――。


【システムメモ:記録応答あり】

 検出項目:アレス・ガードナー

 ステータス:データ復元中/認証失敗

 備考:オーバーライド操作を許可しない

第3話「ログイン:記憶の中の声」をお読みいただき、ありがとうございます。


今回は、リーシャがかつて関わった実験の記録と再び向き合い、その中に隠された「感情」と「記憶」を巡る謎を掘り起こしました。

アレスという存在は、リーシャの過去において大きな意味を持つ人物でしたが、その記憶が失われた理由は彼女自身にも影響を与えています。


次回、第4話では、リーシャがアレスのデータを完全に復元しようと試みますが、その過程で新たな障害に直面します。

それは、彼女が思いもよらなかった形でアレスの存在を再確認させることになるでしょう。


引き続き、この物語の先に待っている「真実」を追い求めてください。

次回、第4話「干渉域の外へ」もお楽しみに!

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