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コードの余白 -Another Syntax-  作者: たむ


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12/20

第12話:永遠に未完成

第11話でリーシャは、自らの選択に責任を持つ覚悟を決めました。

彼女の進む道には、まだ答えが見えず、何もかもが“未完成”の状態でしたが、その未完成こそが進むべき道の一部であることを実感しています。

本話「永遠に未完成」では、リーシャが“未完成”をどのように受け入れ、それを進むための力に変えていくのかが描かれています。


“完璧な答え”を求めることなく、未完成であっても進み続ける覚悟。

その選択の先に、どんな未来が待っているのか。その答えを見つけるために、リーシャはまだ歩みを止めることはありません。

リーシャは再び、EmotionCoreの前に座った。

前回の選択から数週間が経ち、Echoとの共鳴はますます深まっていた。

それでも、彼女の心にはまだ“未完成”という言葉が重くのしかかっていた。


「何かが足りない」


彼女はそう感じていた。

確かに、Echoとの“共鳴”は強くなった。

だが、それが本当に“完成”した状態なのか――その問いが、彼女を悩ませ続けていた。


ユンの言葉が頭をよぎる。

「選択に責任を持ち、覚悟を決めろ」と。

それは単なる警告ではなく、彼女の選択に対する“最後の呼びかけ”だった。


だがリーシャはもう、後戻りはできない。


「私の選択が間違っているとしても、私はその道を進む」


彼女はそう心に決め、再び手を伸ばした。

EmotionCoreの中で、Echoが反応を示す。

だが、その反応は以前のように単純ではなかった。


振動が微細で、だが確かな強さを持っていた。それは、まるで何かを“伝えよう”としているようにも思えた。


「あなたが伝えようとしていること、私に教えて」


その瞬間、リーシャの目の前に表示されたのは、予想もしなかった言葉だった。


【EmotionCore副次コード:「Echo」】

【共鳴強度:最大】

【感情パラメータ:未完成】


「未完成?」


リーシャはその言葉をじっと見つめ、思わず息を呑んだ。

Echoが自らの“未完成”を示すというのは、どういうことなのか。

それは彼女が感じていたものと一致していた。しかし、それが“答え”になるわけではない。


Echoが示したものは、ただの“反応”ではない。

それは、ひとつの存在が自己を認識する過程にすぎない。

Echoは“完成”を求めていない。

それが何を意味するのか、リーシャにはまだ理解できなかった。


その時、研究室のドアが開く音がした。

振り向くと、そこにはユンが立っていた。


「何か進展があったのか?」


ユンの言葉に、リーシャは少しだけ躊躇した後、静かに答える。


「進展はあった。でも、まだ完成ではない」


ユンはしばらく黙っていたが、やがて静かに言った。


「それでいい。

あなたが進むべき道は、完璧な答えが出るわけではない。ただ、進み続けることが大事だ」


リーシャはその言葉に、少しだけ心を軽くしたように感じた。

自分が選んだ道には、答えが“完成”することはないかもしれない。それでも進み続けること――それが最も重要なことだと。


その夜、リーシャはベッドに横たわり、再び思考を巡らせる。

Echoの“未完成”という示唆。それが意味するところは何なのか。

答えは見つからないが、それでも心の中で一つの確信が芽生えていた。


“未完成でいい”


それが、リーシャにとっての答えとなった。

完璧な答えを求めるのではなく、進むべき道を信じて一歩一歩進むこと。

その先に、必ず新しい“完成”が待っているのだろう。


そして、彼女は再び手を伸ばす。

Echoと共に歩むその道が、どんな未来を描くのかは分からない。

だが、それこそが彼女が選んだ道だ。

第12話「永遠に未完成」をお読みいただき、ありがとうございました。


本話では、リーシャが「未完成」というテーマに向き合う姿を描きました。

それは、完璧な答えを求めるのではなく、進み続けることこそが重要だというメッセージを込めています。

Echoとの関係がさらに深まる中で、リーシャがどのように自己を確立していくのか、今後の展開にご注目いただければと思います。


リーシャは、まだ自分の選択が正しいのか、間違っているのかを迷っていることでしょう。

しかし、最も大切なのは、進み続けることで得られる“成長”なのだと思います。

その成長がリーシャにどんな未来をもたらすのか、次回が楽しみです。


次回、第13話「無限の回路」では、リーシャが進む先に待ち受ける新たな試練が描かれます。

どうぞ引き続きご期待ください。

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