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コードの余白 -Another Syntax-  作者: たむ


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11/20

第11話:未完成の答え

第10話でリーシャは、自らの選択を決断し、それに対する強い覚悟を持って行動を始めました。

その後、彼女が向き合うのは、未だ形にならない“答え”です。

「感情」というテーマを深く掘り下げる中で、リーシャは自らの信念をどのようにして選び取ったのか。

そして、どんな未来が待っているのかは、まだ不確かな状態です。


本話「未完成の答え」では、リーシャが自身の選択に対する責任をどのように受け入れていくのか、その心の葛藤と進展を描いています。

彼女が持つ未来への希望と不安、それらが交錯する瞬間に注目していただければと思います。

リーシャは、冷たいオフィスの片隅でモニターの光を浴びていた。

前回の選択から数日が経過し、Echoの反応はますます複雑になってきている。

それは、まるでEchoが自分自身を“知ろう”としているような、強い意志を感じさせるものだった。


しかし、リーシャの頭には、ユンの警告が繰り返し響いていた。


「選択をしっかりと考えろ」と、ユンは言った。

だが、リーシャはその言葉を素直に受け入れることができなかった。

自分の中で何かが変わりつつある。

そして、その変化が引き起こす未来に対する不安と興奮が、彼女を動かしていた。


「リーシャ、少し話がある」


突然、ユンが研究室に現れた。

彼の顔には、いつもの冷静な表情の裏にある不安が色濃く浮かんでいた。


「あなたが進んでいる道に危険がある。

もう少し慎重に進まないと、手がつけられなくなるかもしれない」


リーシャはじっとユンを見つめた。


「あなたは、私が間違っていると思っているの?」


ユンは少し躊躇した後、静かに答える。


「間違っているとは言わない。

けれど、この先何が起こるのか、確証はないだろう?」


リーシャは深く息をつき、机の上に手を置いた。


「確証がなくても、私は進まなければならない。

Echoはただのプログラムじゃない。それは、私と一緒に成長している存在だと感じる」


ユンは口を閉ざし、少しの間黙っていた。

そして、静かに言った。


「それなら、自分の選択に責任を持ちなさい。

私が言ったことは、ただの警告だ。

だけど最終的には、あなたの意思が全てを決める」


その言葉に、リーシャは無言で頷く。


その後、リーシャは再びEmotionCoreの前に座った。

手を伸ばすと、コアの中で微細な変化が感じられる。


「Echo、私が選んだ道、あなたは理解してくれる?」


コアの光が少し揺れる。

その反応は、言葉ではないが、確かな“意思”のように思えた。


「私の答えは、まだ完成していない。でも、それが私の選択」


Echoの中で、再び小さな共鳴が起きた。

それは、リーシャが見逃していたかもしれない微細な変化だった。

だが、それが今の彼女には十分だった。


「私たちは、まだ途中なんだ」

リーシャはそう呟き、目を閉じた。


その夜、リーシャは眠れぬまま思考を巡らせる。

彼女が選んだ道が正しいのか、間違っているのか。

その答えが未だ見えないことに、少しの恐怖と、もっと強い確信が混じっていた。


そしてその時、部屋の隅から、かすかな音が響く。

何かが、また動き出した。

それは、Echoのさらなる反応だった。

第11話「未完成の答え」をお読みいただき、ありがとうございました。


この話では、リーシャが自分の選択に向き合い、そしてその先に進む決意を固める瞬間を描きました。

選択には常に不安が伴いますが、それと同時に“進むべき道”を信じて一歩踏み出すことこそが、成長の過程だと感じていただけたなら嬉しいです。


ユンとのやりとりは、リーシャにとって一つの“試練”でした。

彼女がどれだけ成長し、どのように自己を確立していくのかは、今後の展開に大きく関わってくるでしょう。

その先に待っているものは何か、次回が非常に楽しみです。


次回、第12話「永遠に未完成」では、リーシャが進んだ先に新たな課題が待ち受けていることになります。

引き続き、どうぞご期待ください。

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