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幸せの白い婚約は嘘によって消え去る 閑話  作者: 唖々木江田


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フリーデン裏方の日々③


ローシがライの背を“ドンッ!!”と大きな音を響かせ素早く自分基準で小突くと申し訳なさそうな顔を向けてくると急いでプトゥに頭を下げる。


「すまんプトゥ」


「…あぁ…。いや気にすんな。」


「……プトゥさんなら出来ます…本当すいません…。」


「大丈夫だ。ライ無理して喋るな。」


ライは背中の振動が前にも響いたのか叩かれ背中と腹を抑え涙目になりながらプトゥに震えた声で謝ってきた。


「………。」



「いや!俺の教育がなっていなかった。お前は本当に凄いよ!!……頑張れよ。」


ローシはプロスティが黙々と布を縫い合わせている姿を見て何か感じ取っていたようだが、ライに気付かせる事が出来なかった事を謝罪した後に、チラッと天井迄聳えている2つの布山を見つめ徐ろに近付き“バシッバシッ”と肩を叩くと石が入った木箱を運び出してお茶は要らないと言って帰って行った。


「いってぇな。」


「ッフフ。」


その様子を見てプロスティが笑った事で少し苛ついた気分は直ぐに払拭した。

「然し今回は楽な依頼だった筈なのに何でこんな色々ゴチャゴチャした物を作らなきゃならないんだ!!」


「ダークドが刳り抜いている未だに完成が見えないあの靴よりはマシじゃない?」


あれからお互い短い仮眠を交互に取りながら10日かけて縫い続けあの大きな山は漸く其々手元に残った2枚となり余裕が生まれ会話をしながらお互い針を動かしていく。


「まぁ確かに……あれは酷いな。」


「よろしくの一言でどうにもならないのにね。」


「一言……あいつ鬼だな……。」


自分が知らなかったクリスタルパールの靴を頼まれたダークドの話しに頭が痛くなって来るが、それでも最終的に何とかしてくるだろう自分の師であるダークドには尊敬よりも畏怖の念を覚える。


「まぁ……ダークドなら作り上げるでしょうけど。」


「……そうだな。」


同じ事を思っていたがプロスティにそう言われる自分の師に少し胸がざわつき何となく素っ気なく返事をしてしまう。


「……トリーチェはもう大丈夫かしら?シーカーとリウスは何て言っていたの?」


「……3日間眠り続けた後正気に戻ったのか、2人に全身床に付けて謝ってきたらしい。その後直ぐに俺等に謝って縫製作業に戻りたいと言ったのを2人で止めてダークドの下でしっかり睡眠と食事をとって革と靴を担当している。」


ドキッとしたがプロスティは優しい声音で何もかもお見通しのように話しを変えて来たのでシーカーとリウスから届いた手紙の内容を伝える。


「そう、安心したわ。いつもと違う任務で短い時間の睡眠で回復しなければならなかったから限界を迎えていたのは分かっていたけれど、私も余裕が無かったから最近はトリーチェに5時間以上の睡眠を与えられ無くて困っていたのよ。」


「そんなのシーカーとリウスも知っている。それに毎日5時間なら1番休養を取っているのが自分だってトリーチェは分かって居ただろうし……何処か引け目を感じて知らない間に自分でも上手く回復が出来なかったんだろう。」


「そうなのかしらね?ありがとう……プトゥ。」


「礼…何て別に、俺が本気で煩いと思って追い出してプロスティに迷惑掛けて……。」


「それも事実かも知れないけれど、結果的に貴方がああ言ってトリーチェをこの場から連れ出してくれたお陰で私もトリーチェも救われたわ。」


「シーカーとリウスも限界だったから……まぁあの3人が倒れる前に対処出来て良かったかな?」


「ふふ、そうね。」


(トリーチェが先に限界を迎えてくれて良かったかもな……。)


トリーチェの休息を確保する為にプロスティがいつの頃からどんなに長くても2時間しか休息を取っていない事に気付きそんな状況を変えたいと思っていたが、教育の為にプロスティがトリーチェの事をとても気に掛けていたので行動に移すことを躊躇っていた。


(最初は辛かったけど、そのお陰で教育時間をプロスティの休息に充てることが出来たし…。)


前より隈が薄くなり今日は頬にも少し赤みを取り戻したプロスティの顔を見つめて安堵する。

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