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公将家家長よりも父として。① ファーレのお父さん視点です。

取り敢えず①を投稿します。


「貴方ファーレは本当に……。」


「まだ分からない。」


スヘスティー公将家家長と夫人は前公将家家長に促され列席者の挨拶を途中で抜け急いで花婿の控室に向かっていた。


『今朝見たファーレの様子が可笑しくてのぉ。どうしても不安なんじゃ、此処は私達が対応するからお前達2人はファーレに着いていて欲しい。』


『……。』


そうな真剣な表情で告げられ、まさかとは思ったが確実に安心出来る材料も無く父の言葉に従った。


(父の思い過ごしなら良いのだが…。)


ーートンットンッ


「………。」


(ノックに気が付かないのか?)


「ファーレ入るぞ。」


ノックをしても出でくる気配が無く緊張して気が付かないのかとドアノブを回し扉を開けて中に入ると其処はもぬけの殻だった。


「貴方っ………!!!」


「っ花嫁の控室に急ぐぞ……。」


(私が甘かった!あの子への執着は何処かあの頃から異常だったが…まさか漸く手にした婚姻式の日に何かしでかすとは思わなかった…。)


「スヘスティー公将家家長殿その様に慌ててどうなさいましたか?」


「エクソルツィスムス子将家家長殿……。」


急いで花嫁の控室へと向かい漸く到着する所で、向かい側からやって来た花嫁の父であるエクソルツィスムス子将家家長に声を掛けられ、横に控える彼の妻と多方面から色々と優秀だと聞く後ろに控える彼の息子に訝しげな目で見られたが、何が起こっているのか分からない状況に申し訳なさと只々焦りを覚えた。


「……お話しは後で、息子が娘さんに何かしていた場合こちらでどんな責任も負いますので先に中を確認させて頂きます。」


「【……!!!!!!】」


「「「「「!!!?!?」」」」」


ーードンッドンッ


「義娘よ入るぞ!!」


控室から叫び声のような物が聞こえ急いでドアをノックするが応答無く急いでドアノブを回し中に入る。


「「「「「!!!???」」」」」


返答の無いまま扉を開けると花嫁の控室の中の光景に全員目を見開き絶句した。


「ファーレ!!何をやっている!!!!」


息子に飛び掛かり青白い顔色の意識を失っている花嫁から引き離すと床に叩き付け、その間にエクソルツィスムス子将家家長達は急いで花嫁に駆け寄った。


「お前……自分が何をしようとしているのか分かっているのか?」


震える自分の手を力強く握りしめ怒りと情けなさにより震えそうになる声を抑える。


「父上…何故止めるの?これでボイティは確実に僕の物になるのに。」


悪気もなく平然と言ってのける息子に目の前が暗くなるのを感じ、息子が何を言っているのか分からなくなる。


「……これから婚姻式を迎えるのに…何故そんな?」


「…分かってる。でも漸く手に入ったのにこのまま消えてしまいそうで物凄く不安なんだ…だから!」


「っ!!ファー…」


「ファーレ殿!!」


自分の震える手を広げながら本気で脅え始める息子に呼びかけようとすると、後ろからエクソルツィスムス子将家家長が怒りの籠った声で息子の名を呼んだ。


「……お父君から話しを聞いてこの婚姻を承諾したが、もし娘の意思を無視して婚姻を待たずに無体を働くと言うなら、この式は父として中止させて頂く!!」


「エクソルツィスムス子将家家長殿……。」


「……それはエクソルツィスムス子将家家長は(スヘスティー公将家)の敵に回ると言う事……?」


その言葉を聞きファーレは鋭い視線をエクソルツィスムス子将家家長に向けたが家長は怯むことなく見つめ返し、寧ろ露骨に顔を歪め不愉快さを顕にした。


「はっ!敵?娘を大事に出来ない男に我が娘の人生を任せられる訳が無いだろう!これは公将家と子将家の話ではなく親としての話しだ!……全てを家同士の問題にするのは辞めてもらおう。」


ファーレの言葉に馬鹿にするように返すと怒りを込め勢いよく捲し立て、最後は落ち着いたよく通る声で静かに窘めると、強い眼光で蔑むような視線をファーレに向けた。


「!!………。」


言い返されると思っていなかったのだろうファーレは驚きにより目を見張ったが、その後眉を寄せエクソルツィスムス子将家家長から視線を外すと悔しそうに唇を噛んでいた。


「ファーレ私もエクソルツィスムス家家長殿と同じ意見だ。お前がどんなにボイティ嬢に焦がれても家の圧力での婚約を強要しようとしたお前に許しを与えなかった時と同様、互いに納得しないのであれば婚姻を結ばせる事は出来ない。……強要された辛さをお前は分かるだろう?」


どんな階級であろうとも将家の家長を担っているのだこの前の様に子供が先に仕出かした話しでは無いならファーレが本気で相手をされて敵う筈もなかった。


「ファーレ……。」


ただ息子が辛い状況にあった事を知る私と妻ははファーレを子将家家長()の様に怒鳴る事は出来なかった。


「………。」


「このまま式が始まるまで自分の控室に戻って頭を冷やそう。」


「それは嫌だ、このままここでボイティと一緒に会場まで行く。」


「!!ファー…


「もうあんな事はしないよ。それにもし僕達を離そうとするなら……。」


息子の背に手を掛け立たせようとしたが振り払われ、まるで駄々をこねる子供の様な事を言い始める息子に流石に看過できないと眉を顰め少し強めに注意をしようとすると視線だけをこちらに向けてニタァっと壊れた様に嗤った。


「!!お前……分かった。この場で良い少し2人で話しがしたい。」


そう言って力強くでファーレを空いてる椅子に座らせた。


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