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幸せの白い婚約は嘘によって消え去る 閑話  作者: 唖々木江田


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あの日から ボイティのお兄さん目線 ⑤


「お母様……。」


老父と出て行くのを確認して隣の部屋の扉を開けて母に力なく声を掛けた。


「エレミタ……部屋に居なさいと言ったはずです。此処で見ていたのですか?」


「……母上はあの人が医師として追放されかけているのを知っていたのですか?」


「ええ。でもあの方以上に腕の立つお医者様を私は知りませんでした。」


「っ何で!………。」


母が無表情のまま淡々と告げて来る言葉に同仕様もない苛立ちを感じて言葉を荒げてしまう。


「あの方がボイティを救ってくれました。あの医師様は悪い方なのかしら?」


「それは…それに!あの膨大なお金は一体何ですか?!あんな…お母様はこの家を潰すおつもりなんですか?!」


動かした金額に母がどれだけ銀行から借りたのかは分からなかったが、既にこの家が傾く危険があると他の将家では噂になっているだろう。


「あれは私の私財ですよ。旦那様もご存知ですしこの家には何も関係が無い物です。」


「関係ない?」


「ええ。旦那様と婚姻する前に私が個人的に利益を出した場合にのみ分配される様になっている(お金)です。書いてあったでしょう?収支の勉強はしていましたか?」


「なっ!!??」


最近学んでいる領地の収支について思い出すが、全く頭に入ってこないあの資料のどこに書いてあったのかは思い出せなかった。


「はぁ…。まぁそれはいいでしょう。エレミタ、貴方の中にある固定概念と違うからと言って否定してもいいけれど結果はどうなりましたか?」


「それは…」


「貴方がこれからこの子将家を背負うのですから少し教えておきますが、今領で莫大に税を納めてくれている全て人から指を刺された者たちです。」


「え?」


「コルデーは動物の内部を使った人体に毒だと言われていた商品、カラクリは人を呪い殺すと言われていた玩具です。他にもありますが…今はどうですか?」


「……。」


領地で人気があるその商品達が以前はそんな事を言われていたなんてとても信じられず何も言えなかった。


「あの医師様は、テートリヒェスを使って亀贈病を治せるのでは無いかと陰で研究しているのが知られ人々や学会から後ろ指を刺されました。」


「そんな!あれは少し間違えば直ぐに死んでしまう植物ですよ。それを人に…」


「ええそうですね。でも1番死と隣り合わせなのは研究している医師様たちです。そして皮膚が固まり動けなくなってしまった全大陸で苦しんでいる人を救おうとしています。間違えていますか?」


「……。」


「善も悪も見る側やそれを使用するもので変わります。何事も片面ではなく両面を見なければなりません。」


「………。」


何も知らなかった事に感情が沈んでいくのが分かり、それと同時に顔が下に下がっていく。


「ああ、でもお父様の様に実直に生きる事も間違えではありませんから、母の考えをそのまま否定するのも間違えではありません。」


少し焦った様な母の声が聞こえ顔を上げると困った様な表情の母と視線が合い、自然と首を左右に動かした。


「お母様は間違えてはいないと思います。でも僕にはまだ理解は出来ません……。でももしまたボイティがあんな事になったらと思うと怖いです。どうしたら助ける事が出来ますか?」


母は少し目を見張り考え込むと口を開いた。


「そうですね……


そう切り出した母は僕を長椅子に座らせその隣に座ると自分と違う方法と同じ方法を其々教えてくれたがいつの間にか僕は眠っていた…。


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