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幸せの白い婚約は嘘によって消え去る 閑話  作者: 唖々木江田


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13/16

あの日から ボイティのお兄さん目線 ③


「スクレテール急ぎプローハ医師に連絡を。」


下に到着すると屋敷の従者達が集まる中で落ち着いた母の声が聞こえて来た。


「かしこまりました。」


「奥さま?それは…」


「何か言いたい事が…?」


「いいえ…なんでもございません。」


母が自分付きの侍女に声を掛けると、周りは少し不安気な雰囲気になり妹付きの侍女が声を掛けたが母の一声に言い淀み口を閉じ下を向くと周りが騒がしくなる。


「ボイティ!!……フロワエイスどうしたら良い?娘が…私と君の娘がこのままでは……」


「……旦那様何の知識も無いものが動かしますと余計ボイティが苦しむ事になるかも知れません。直ぐに医師様が参りますのでお待ち下さい。」


「ああ……どうしてこんな……。」


出かけていた父が慌てて戻って来ると母の側に駆け寄りか細い息をする妹の前で膝を付き伸ばそうとした手を止めて自分の顔を覆った。


「旦那様…。この件は私に全て任せて頂けませんか?」


「……それは…


「全て私が、何とか致します。貴方が傷つかなくて良いように最善を尽くします……。」


「……フロワエイス……。分かった…君に任せる。」


そんな父の肩にそっと母が手を置くと悲しそうな表情を見せて話す母に父は少し戸惑っていたようだったが続く言葉に力なく頷いていた姿を見て僕は母の前に出た。


「お母様…僕……」


「エレミタ…貴方がなぜ此処に…?」


「……っあの」


「はぁ……。エレミタ貴方は邪魔です、お父様と一緒にお部屋に居なさい。」


「でも…お母…


自分が仕出かした事に何か言葉を求めて母に声を掛けると少し驚いた表情の後冷たい視線をヴァルターに向けて溜息を吐いた後に続く言葉に僕は凍り付いた。


「貴方が追いかけた事でボイティはバルコニーから落ちました。」


「え……」


「これが事実でしょう?だからと言って何も聞かずにあの状態を見守ろうとしたお父様とお母様にも責任はあるわ。」


「………。」



「ただこれで分かったでしょう?本当に嫌がる相手を無理やり追い詰める怖さを。」


「……はい。」


優しい言葉を求めた訳ではなかったが責められるよりも只々目を見つめながら真実のみを告げて来る母の言葉に心が冷えていき再び目の前が歪んできたが、確かにその恐ろしさを知った僕は母の言葉に声が震えないように返事をした。


「なら今現在何も出来ない貴方は部屋に居なさい。邪魔です。」


「………。」 


「…エレミタ父も今から部屋に向う。一緒に行こう。」


母が僕から視線を外すと立ち上がった父が声を掛けながら僕の肩に手を置いて入り口に向うように促して来た。


「っ…う…。」


その手の温かさに瞳から涙が零れ手で拭いながら歩き出すとスクレテールに連れられ少し脅えている顔色の悪い細身の老父を先頭に同じく顔色の悪い5人の男性と女性がやって来て父と2人で足を止めた。


「奥さま、医師様達を連れて参りました。」


「プローハ医師様、時は一刻を争います。どうか娘をお願い致します。」


「!?……分かりました……。」


頭を下げている母を見届けると複雑そうな表情をした父とヴァルターと共に屋敷の中へと戻った。


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