あの日から ボイティのお兄さん目線 ①
俺の妹は馬鹿だ。
「……お兄様はこんなお祝いごとの時にも現金を求めれるのですか…?送る側の気持と言うものも……。」
俺の妻の腹の中にいる子供への贈り物に1番使い勝手の良い現金を求めたら、悪人でも見るかの様な本当に酷い顔をして文句をつける妹を眺め心の中で苦笑してしまう。
(俺がこうなったのはそもそもあの時のお前が原因だったがな……。)
いい加減何も覚えていないだろう妹に反論をし始めながらあの時の事を思い出した。
ーーー
「おにいさぁま。」
「どうした?」
椅子に座り屋敷の書庫で調べ物をしている近くの床に座り込んだ6歳下の妹が、読みたいと強請られて渡した分厚い図鑑を広げ、ページに乗っている絵を指で指しながら声を掛けてきた。
「このしゃんらんみんがほしいです。」
「………遮閻鏡な。無理だ。」
図鑑を覗き込み相変わらずの趣味に少し頭が痛くなってきたが、キラキラと瞳を輝かせて見つめてくる妹に強く伝える事が出来ず、いつも通り頭を撫でながら優しげな声で両断する。
「なぜです?かわいいです。」
「……可愛……い?」
邪な考えを持つものを飲み込み離さない、とある特定の機関でしか使われないどう見ても禍々しさしか感じられない花の絵を指差し可愛いと言う妹に顔が引き攣るのが抑えられなかったが頭ごなしに言って何故と聞き続けられるのも面倒なのでいつも通りの説明を口にする。
「はぁ…。取り敢えずビッダウ国でこれ系の花を売っている店は六軒あるけれど、この花を取り扱っている店はない。だから無理だ。」
「そうなんですね…なら、おとうさまにおねがいしてみます。」
「はぁ………勝手にしろ。」
溜息を吐き理由を伝えても諦めようとしない、いつも通りの妹に目眩を感じ何を言って無駄だと諦めた。
「はい!!」
応援されているとでも思っているのか毎回そう元気良く返事をしては満面の笑顔を向けてくると、また図鑑に視線を向け文字を読み始めたのだろう少し難しい顔をし始めた。
(渡さなければ良かったな……。)
書庫に向かう俺の後ろを付いてきた妹に絵が描かれている方が楽しいだろうと動物が描かれた本を渡していたが等々全て読み終わり、次に植物の本を渡して以降気になった花を見つけては本を持たされ一緒に父の元へと行き、強請られ青い顔をしながらも笑顔で話しを聞く父の姿を見せられる様になった。
(渡した俺にも責任はあるけど、お父様もあの時購入しなければ良かったのにな……。)
妹の余りのしつこさに等々根負けして茶生という動物の顔に似た花を咲かせる植物を買って貰って以降強請りに行く花の趣味はもっと酷くなった。
「お前の話しを聞くお父様も大変だな……。」
「いつもたのしそうにはなしをきいてくれます。おにさぁまおわったですか?いきましょ!はいギュッしてあげます!」
「………。」
(どっちがだ……。)
調べ物が終わり顔を上げて妹に声を掛けると、図鑑から顔を上げ破顔して手を伸ばしてくる体温の高い妹の手を“ギュッ”と握る。
「おにさぁまこれも“ギュッ”してください。」
「……今日も行くのか?」
「はい!!」
「はぁ…。」
重たい図鑑も持ち父がいるだろう執務室へと連れて行き青い顔の父を見るのが既に日課になっていたそんなある日、スヘスティー公将家から全身水で濡れた状態で帰って来てから妹の様子は変わった。
明日にはこの話も全話更新予定です!
楽しんで頂けたら嬉しいです。




