第壱章.プロローグ2 暗鏡流水
勉強つかれた
受験やばい
「ーーーー」
水面を見つめていた少女の口から、ため息が漏れた。
流れる川に映る全身は、ぼやけて輪郭さえはっきりしない。
曖昧なその姿は、まるでその少女自身の心を写しているようだった。
「お嬢様。またここにおられたのですね。」
少女が振り返ると、執事風の服を身に包んだ白髪の老人が微笑みながら立っていた。
「ピエール。我がどこにいようと私の勝手じゃろうが。」
ピエールと呼ばれたその執事は微笑を浮かべて言った。
「そうではなく。また考え事をしていたのですね。お嬢様がここにいらっしゃるのはその際くらいですから。」
「べ、べつに彼のことを考えていたわけではないのじゃ!」
少女は慌てふためいた。ピエールほど彼女を知っている者でなくとも、その反応は誰の目にも明らかだろう。
(誰も彼のこととは言ってないのですが)と執事は呆れながら、
「不確かなソースですが、その少年らしき人物が異世界にて生存している可能性があるという情報を得ました。」
と言った。
「なに?」
「ですから、彼が異世界にて...」
「そうじゃない!!! 彼は生きているのか!?!?」
少女はピエールの肩を激しく揺さぶった。
その勢いで彼が書類を読むために掛けていた眼鏡が吹っ飛んでいくほどに。
「あ〜、眼鏡が.....」
「そうか!! やはり生きていたか!! こんなことで死ぬようなやつではないと思っていたが、さすが我が見込んだ男じゃ!!」
ハ〜ハッハッハ、と少女は誇らしげに胸を張り、右手を空へ突き上げた。
「お嬢様、不確かなソースなんですが.....もう聞いておりませんね...」
ピエールは魔法で拾った眼鏡を掛け直しながらつぶやいた。
「ピエール、彼の情報の収集を続けるのじゃ!! さあ、屋敷に帰ろう!」
少女は、る〜んたった、と帰路へ向かう。その背中を見てピエールは喜びを感じたが、同時に不安もよぎる。
(この魔法世界でない異世界とはどんな場所なのか.....)
世界は広い。それはピエール自身が身を以て知っている。しかし、今の彼には少年の無事を祈ることしかできない。
そんなことを知るわけもなく、
「ほらピエール! 早く帰るぞ!!」
と少女は嬉しそうに彼を呼ぶ。そして、
「待っていろ!!! この我が必ず助けに行くのじゃ、陽牙」
と、その少女 ーー シスイ ーー は夕焼け空を見上げ、少年に誓った。
================================================
その夜、シスイはこっそり屋敷を抜け出そうとしてピエールに見つかり、こっぴどく叱られるのだが、それはまた別のお話である。
3日に一回とか言ってるのに一週間くらいたってしまいました
まあ待ってくれている人なんていないと思いますが(´・ω・`)
今後ももしかしたら不定期になるかもです すいません
できるだけ頑張ります
口だけです
12/30追記。
シスイお嬢様の呼称を「我」、語尾を「じゃ」にしました。
そっちのほうが親しみがでそう
このあと本編の予定なのですが、冒頭に困っておりまして進みません...(あと勉強も)
受験終わるまで長引くかも
まあ待ってくれてる方もいないと思いますが笑
今ならファン一号として作者公式に認定しますよ〜
有名になったらなんかしますよ〜(適当)
だからコメントとか評価くれ(´・ω・`)