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風の村  作者: kint
7/10

私は、魔物の重たい頭に押しつぶされそうになっていた。


私を襲おうとした魔物は、だらりと肢体を放り、口から泡を吹いている。



獣くさい悪臭から早く解放されたい。

でもまずは、助かったことを喜ばなくてはいけないだろう。



魔物が気を失ってから、半刻ほどたっただろうか。


ザッザッザッザッザッ



足音が近づいてくる。


そのとき、ものすごい突風が地面の土や葉を巻き上げ、思わず目を閉じた。



「ミルラ!」



そこに、凄まじい形相の風の少年がいた。



いつも重たげにまつ毛を垂れていた目は、カッと見開いて、眉がグシャグシャに憤怒していた。


「ぶっ殺してきた!」


彼は、すぐに私に被さっていた魔物を突き飛ばし、ナイフで首元をひと突きした。


そしてすぐ私に駆け寄って、体に食い込んだツタをナイフで切った。


「ミルラ!無事か?怪我してないか?!」


彼の手は怒りで震えている。


「だ…大丈夫よ……。何もされてないわ」

私は、初めて実感が沸き上がってきて、たまらなくなった。



私たちは膝立ちで抱き合い、震えながら一緒に泣いた。


「ぶっ殺してきた!仕事がもっと早く片付けられたら、ミルラにこんな思いさせずに済んだのに!」


私は、彼の言う「ぶっ殺してきた」が何のことか、全く心当たりがなかった。



ただ、星がキラキラ瞬く空が、血みどろの光景とは無縁のように平和だった。





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