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風の村  作者: kint
5/10

夕暮れ

それから、ぽつぽつと会話したり、黙って辺りを眺めたり、そうしているうちに日は弱くなっていった。


「そろそろ、戻らないと」

私はスカートをタンタンと叩き、乾いた苔のクズを払った。


彼は、少し離れたところで無造作に座り、指編みで何かを作っていた。


「ほら、腕輪だよ」


…すごい



その辺に生えていた長い葉で、幅のある腕輪を編んでくれた。

差し色に、茎の赤い植物を編み込んでいる。



「あ…ありがとう」


私は、かぁっと赤くなったが、彼は動じずに私を見つめている。


指輪じゃないところに、私への尊重があるようで、とても嬉しかった。



腕輪をはめた私は、彼と森の出口まで歩いた。

もう夕日が差し込んできて、風も止みはじめている。


ちょうどこの時間は、大きな風を起こすのを控えているらしい。


私たちは、森の出口で別れた。


「大丈夫だよ!おじいちゃんが荷車でこの辺まで来てるはずだから」



薄いベージュの綿毛をもった少年は、さわさわと髪をそよがせながら、左手で手を振っている。

ふいに真横に小さな竜巻を起こし、少し浮き上がってから右手に繋いだ私の手を離した。


「じゃあ、またね」



みるみる彼は竜巻に巻き上げられ、斜めがけした袋からは、2〜3粒イチゴが飛び出して、彼の肩のあたりをぐるぐると回った。



彼が遠くに行くのを見守ってから、私は家路を急いだ。


半分の量に分けたイチゴは、それでもジャムにしないと食べきれないほどたくさんあった。



「おお〜い」


「あ!おじいちゃん!」



「つむじ風が立ったんでな。お前が風坊といると思って、来てみたんだ」



私は、こんなにイチゴが採れたとおじいちゃんに報告しながら、笑顔がおさまらず、ルンルンと軽い足取りで、おじいちゃんの荷車に乗った。



夕暮れ時に会った人には、警戒しなければならなかったのに。



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