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不安
「不安なの……」
耳にタコができるほど彼女の口から聞く言葉にため息を飲み込む。
どんなに言葉を尽くしたところで、彼女の根本的な不安は僕には取り除けない。
「大丈夫だよ」
なるべく優しい声色で囁きかける。
「でも……だって……」
僕の言葉は君の中には浸透しない、届かない。
それが嫌ってほど分かっているのに、それでも彼女を愛しいと思う気持ちがある限り、僕は言葉を重ねていくしかない。
「不安がない人間なんていないよ。ね? 大丈夫だから」
届かない言葉を、僕はこれからどれだけ重ねれば、彼女と通じ合えるのだろうか?