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文化祭には売ってない

作者: 小波

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 店員さんがフリーハンドで描いたくまの絵のカップが横からにゅっと伸びてきた。

 

あげる。


 この子から飲み物を貰うのは何度目だろう。

私はまだ棒付きキャンディしか返した事が無い。


しかも一度きり。


クリームソーダ味のシェイクは期間限定品らしい。


‥いつも外だとなにかうの?


そこのコンビニのコーヒー一択。


屋上から指を指す。いつもホット。


アキラは?


私はミルクティーが多いかな。


へえ。コーヒーも好きだよね。



うん。コンビニの美味しいけど。ミルクティーって家で淹れると難しいから買いたくなるの。


へええ。


今日のチョイスが気になったのか私の手元に目線が走る。


何でも飲めるよ。とストローを咥えた。



しょっちゅう買ってくるくせに好みも聞かなかったよね。よしよし成長したな。同じクラスの彼は入学式の帰りに事故に遭った事がある。そして半年も休学した。次の春ひとつ年下の私たちのクラスに一緒に入った。と、近頃彼から聞いたばかりだ。


年上だったんですね、タメ口でさーせん。


全く気持ちこもってないよ。


あー、さーせん。


私のことを好きだから話がしたいからいつも飲み物買ってくるんだと思う。缶とかペットボトルじゃなくてストローがもう刺さってるやつばっかりだ。

私は飲み終わると手を振っていなくなる。


すると少し離れたところにいる彼の小さな目が子犬みたいになるのが少しだけかわいい。


だからいつも先に飲み終わって帰ってしまう。



秋風と曇り空と出たり消えたりする光。

高い場所から見下ろす文化祭は色がきれいだった。

あんなところに光る目玉をつけた宇宙人がいる。体はピンク色だ。私服が眩しい他校の生徒達、ぐだぐたという足取りで見回る先生。相変わらず地味な紺ジャージだ。風船をたくさん膨らまして作ったアーチとその側でねじった何かを渡す生徒。


今度はミルクティー買ってくるね。


あ、私お砂糖入ってないのが好きなんで。


そんなの売ってる?


売ってますよ、あそこで。



例のコンビニだ。



イートインありましたよね。一緒に飲みませんか。



なんで今日はタメ口じゃないの‥



私、甘いのは苦手なんですよ。



きょとんとした顔の先輩はやっぱり子犬みたいで頭をぐしゃぐしゃにしてあげたいな。



あ、閉会式始まっちゃってますよ。


シェイクは冷たくて飲み終わらなかった。



私は先輩の顔は振り返らないで


少しは参加してきますね!と屋上の階段を駆け降りた。








ありがとうございます。

誤字とかありましたら教えてくださいね。

また読んでね!

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