異国の地にて待つ
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。
それから約5年後。今回の爆弾テロ事件を巡る裁判が最高裁で開かれた。
裁判自体は、被告が素直に罪を認め、包み隠さず供述したため滞りなく進んだ。
このまま極刑で間違いなし。かと思われたが、実行犯の紗那は懲役15年の実刑判決。青年部のメンバーの大半に至っては、直接手を下していないことや少年法を理由に執行猶予付きの有罪判決という、比較的軽い刑罰で済んだ。
この判決に、世間が衝撃を受けたのは言うまでもない。
検察が精査した証拠に不備はない。自白だってある。にもかかわらず、こういう結果になったのは、身分を偽ってまで紗那と青年部のメンバー全員の弁護についたペガサスの方が一枚上手だったからだ。
彼は多くの犠牲者を出した罪は重いと認めつつも、源士郎によって既に社会的制裁を受けていること、事件当時まだ18歳で家庭環境も劣悪であり、狂信からくる一種の洗脳状態にあったこと、そして最も罪が重いのは主犯である清志郎と、聖民党を扇動した真であること等を延べ、裁判官と裁判員に減刑を求めた。
もっとも、それだけでは、判例重視の法廷を動かすことはできない。紗那を始めとする青年部のメンバーが深く反省していることと、ペガサスからの要請を受け、裁判員に紛れ込んでいた閻魔大王ら協力者のアシストがあったからこそ、成し得たことである。
ちなみに、清志郎と真の罪は被疑者死亡のため不起訴という形になったが、党は解散。真が会長を務めていたW・Sは、元々プライバシーの侵害で訴えられていたところに、追い討ちをかけるように今回の事件と裁判の影響を受けたことで、株価が大暴落。程なくして倒産した。
こうして、ペガサスは有言実行し、約束を果たしたが、やったのはあくまで減刑のみ。刑罰や前科を免れたわけではない。
彼女達は今後、前科者として一生罪を背負っていくことになる。きっと社会や刑務所内で、想像を絶するいじめや理不尽な目にも遭うだろう。
それでも、たとえどんなに辛くても、自分の意志で懸命に生きていかなければならない。それこそが刑罰に勝る試練であり本当の戦いなのだ。
それらから目を背けることなく、新たな1歩を踏み出した紗那が、帰国し、家族となる日が来ることを、龍は遠い異国の地から夢見ていた――――――
『生の書』はこれで終わりましたが、シリーズが完結したわけではありません。ご存知の通り、まだ謎が残っていますからね。続編を楽しみに待っていてください。
最後に、今回の作品を通して僕から一言。
生きることは幸せや夢、目標に向かってもがき続けること。言うなれば一種の戦いです。
それが将来の夢なら言うことなしですが、基本的に幸せや目標に大小はありません。
重要なのは何かに向けて全力で生きること。実際、動植物達も縄張りを守ることや、子孫を残すことを目標に懸命に生きています。
逆に最悪なのは、諦観からそれらを放棄し、妥協や現実を言い訳にして惰性で生きること。それはただ呼吸をし、心臓を動かしてるだけであり、生きてるとは言えません。
少々長くなりましたが、皆さんはそういった劣悪な存在にならないよう、肝に銘じておいてください。




