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死獣神~生の書~  作者: 天馬光
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柚の結論

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。

 午前10時。青山一家や飛鳥、宙達だけでなく、エピウス国民全員がテレビに注目する中、一連のスキャンダルに対する黒木蜜柑の、いや、柚の謝罪&釈明会見が始まった。


 会見が始まると、柚はまず、世間を騒がせたことを謝り、その流れで自らの素性や女優になったきっかけ、スキャンダルの真実について嘘偽りなく語った。

 その上で彼女は、


「――もっとも、これだけの騒ぎを起こしておいて、幸せに生きようとするのは、自分で言うのもなんですが虫のいい話です。なので、国民の皆さんに審判を下してもらおうと思っています」

 と、自らの処遇を決めてもらうようお茶の間に求めた。

 これには、マスコミも度肝を抜かれ、会場がざわつきだす。


「端から見れば、決断を放棄してるように見えることはわかっています。ですが、責任から逃れるためではありません。人々の声に耳を傾け、何が最善なのか確かめる。そのために必要なことなんです。それで芸能界に不要だと判断されたら、私はそこまでの存在だったというだけの話です」

 『女優は最高の天職』と言っていたぐらいだ。柚とて未練がないわけではない。だが、望まれてもいないのに続けるほど厚顔無恥でもない。

 自らのポリシーに基づいて委ねる。これが、数日悩んだ末に決めた彼女なりの責任の取り方であり、現実との戦い方なのである。

 無論、そういった考えを理解できない者もいる。前述の判断やスキャンダルも含めた過去の行いについて、記者からは『結局逃げじゃないか』と非難されたり、意地悪で不躾な質問をされたりもする。

 けれど柚は、一切腹を立てることなく、真摯に答え続けた。


 その正々堂々とした姿勢は、やがて、人々の見る目を変えていき、質疑応答がある程度進んだ頃には、会見を見ていたほとんどの国民が、柚の芸能界復帰を望むようになっていた。

 この態度の変化に、会見の一部始終と復帰のラブコールを口々に送る商店街の人々を目にした愛花達は舌を巻く。


『すっごー』


「それだけの力が猫宮さんの言葉にあったんだ」

 武文の言う通りだ。そして、それができたのは柚自身の心が強くなったからに他ならない。黒龍や仲間に依存し、そのくせ1人で背負い込んでいたかつての弱い少女はもうどこにもいない。この逆境をバネに成長したのだと、青山一家は実感した。

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