失意の連行
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。
数分後、源士郎から連絡を受けた地元警察が到着。予想以上に多い野次馬が建物の外に集まる中、聖民党のメンバーは全員逮捕され、連行されていた。
他に方法がなかったとはいえ、大切な人の命を奪い、罪人として愛する女を世間に晒す。あまりにも哀れな紗那の姿を目にした龍は、胸が締め付けられるような気持ちになる。
「辛いね。龍君」
柚も同じ気持ちのようだ。龍は小さく頷く。
「あれ? そういえば、ペガサス。あの鬼犬は?」
「彼ならあそこで警官達に指示を出してるよ。犬飼警部と一緒にね」
源士郎を指差して答えたペガサスの言葉に、全員が強い不安を感じる。
知っての通り、源士郎は犯罪者に容赦がない。その手段はどこまでも苛烈で、どこまでも陰湿である。
となれば、青年部のリーダーであり、実行犯だった紗那に何をする気か? その答えは自ずと出てくる。
「お前が、実行犯か?」
絶望し、虚ろな目をした紗那は顔を上げた。
「あなたは……犬飼源士郎さん?」
「ほう、やはり知っていたか。それはそうと、今、どんな気分だ? あの男の掲げる理想のために働き、いつかそれが実現すると夢見ていたが、それを潰された挙げ句、こうして連行される気分は?」
そんなもの最悪に決まっている。紗那は悔しそうに唇を噛んだ。
「悔しいか。が、自業自得だぞ? 多くの命を奪った者に、理想や夢を持つ資格はない。お前達に必要なものはただ1つ。極刑という名の罰だけだ。その手始めとして、まずは……お前からこの場で罰を受けてもらおう」
そう言うと源士郎は、紗那の二の腕を乱暴に掴んだ。
裁判を待たずして殺されると思った紗那の部下達は、『やるんなら俺達をやれ!』と必死に訴えたが、源士郎は聞く耳を持たない。
「犯罪者のくせに意見するな。お前らには言論の自由はおろか、拒否権や人権もない。クズなのだからな」
「くっ……」
「それでもというのなら、いいだろう。死ぬ順番が前後するだけだ」
そう言って源士郎が左手を上げると、警官達は一斉に銃を構えた。相手が子供だろうと、一般市民が見ている前だろうとお構い無しだ。




