死を呼ぶ龍
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。
なんにしても、これで清志郎を誑かす存在は消えた。後は、彼に諸々の責任をとってもらうのみ。
その最後の大仕上げに向けての前座として、陽動を買って出ていた犬飼親子とフローラ達が、ついに大広間に到着。銃を手に待ち構えていた清志郎と青年部のメンバー達と対峙した。
「そこまでだ。愚民共」
「愚民とは失礼ですわ。多くの方の命をあんな蛮行で奪ったあなた方の方が愚民ではなくって?」
「人は生まれつき愚民だが、正しき目標を持ち、その道を進むことで聖民となる」
「ふっ、よく言う。その可能性すら潰してしまうようなクズが吐いていいセリフではないな。目的のためなら手段を選ばん。それではブラック・ナイトと同類だな」
話をしたところで平行線。こうなることは予想できていたが、それでいい。目的は、あくまで時間稼ぎなのだから。
「聞き捨てならんな。私があんな連中と同類だと?」
「同じです。大義のために大勢の人間を犠牲にしているのですから。どうしても違うと仰るなら、その高すぎるプライドが腐りきる前に、罪を償い、考えを改めてください」
剣の柄に手をかけた黒蛇はせめてもの慈悲として投降するよう求めたが、清志郎の態度は変わらない。
「できんな。愚民は滅ぼさねばならん」
「そうか。ならば、死んでもらうしかないな。死の龍の手にかかって、な」
忍がそう言った直後、清志郎の背後に通風口の蓋が落ちた。と同時に、青龍が音もなく降り立ち、清志郎の首を瞬時に切断。仕事を終えると、すぐさま閉めるための蓋を手に、ダクトへと戻っていった。
時間にして僅か3秒。青年部のメンバーが気付いた時には、清志郎の首は既に床に転がっており、それを目にした少年少女達は取り乱す。
「せ、清志郎さんっ!」
「動くな! 最早、お前達の主は死んだ。死にたくなければ神妙にお縄につけ」
警察である忍からの言葉、それと目の前の現実を前にしてはどうしようもない。敗北を悟った青年部のメンバー達は観念し、武器を捨てた。
これで事件は解決した。けれど、青龍の顔は決して晴れやかなものではない。
もし真がいなければ、いやそれ以前に、もっと早く彼女や清志郎と出会い、聖民党の道を正すことができたら、こんな結末にはならなかったかもしれない。
そう思うと、2人への謝罪の言葉しか出てこなかった――――




