繋がる心
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。
この時点で、もう勝負がついているようなものだが、追い風となる知らせが入った。
未来と愛花がシステムを完全掌握。それによってレーザー等といった防衛システムが機能停止したのだ。
「柚さん。武文君達から連絡。ハッキングに成功したって。あとは彼女をそこから引き剥がすだけだよ」
ペガサスからの報告に了解すると、黒猫は紗那から一旦距離をとり、デビル化を発動させた。
「ペガサス君。後は任せて」
「わかった。頼んだよ。彼女の心を救ってあげて」
仲間からの頼みに頷くと、紗那の方を向き直る。
「紗那さん。もう丸腰同然でしょ? これ以上抵抗しないで」
「それは……できません!」
レーザーが使えなくなった紗那は、持っていた銃を抜き、発砲したが、エネルギー生命体型異端種の魔族となった黒猫には通用しない。
撃っても撃っても、体を通過するだけで意味はない。拳が届きそうなところまで接近したところで、とうとう弾も尽きてしまった。
「弾が……!」
「なら、もうやめて。虚しいだけよ」
「それでも、私はっ!」
この期に及んで、まだ抵抗するつもりのようだ。隠し持っていた包丁を取り出そうとする。
「バカ……ナイトメアブレード!」
自分と同等の往生際の悪さを見せる彼女に、黒猫は呟くと、ナイトメアブレードで紗那が被っていたヘルメットを粉砕し、彼女の手足や体を突き刺した。
それでもなお、振りほどこうと踠く彼女に、黒猫はナイトメアブレードを通じて互いの読心能力をリンクした。
(紗那さん、もうやめて)
(柚さんの声が、頭に?)
驚く紗那に、黒猫は説得を続ける。
(これ以上やっても、苦しいだけよ)
(で、でも……)
(わかってる。紗那さんの気持ちは十分理解してる。大切な上司のために身命を賭していたのは、私も同じだったから……)
(だったら!)
(だからこそ、これ以上傷ついてほしくないの。体もそうだけど、あなたの優しい心も……お願い紗那さん。投降して、罪を償って)
殺人者である自分が言えた立場じゃないことぐらいわかっている。それでも柚は、紗那の更正を切に願った。
その真剣な気持ちが、彼女の頑迷な心にようやく届いたようだ。紗那は涙を流し、抵抗をやめた。
それから程なくして、駆けつけた黒鳥の手によって、紗那は拘束された。抵抗する意思がないことはわかっているが、念のためである。
「紗那、死になや」
「え?」
「清志郎が死んでも死ぬなって言うとんねん。あんたが自殺したら、あいつも龍も悲しむで」
気絶から目覚めた朱雀に釘を刺された紗那は頷いたが、実際に直面したら100%しないとは限らない。
それは、紗那の部下である青年部のメンバーにも言えることだ。清志郎の死によって、彼らも暴徒化や自決をしかねない。
それを未然に防ぐべく、ペガサスだけがメインコンピューター室を後にし、残った朱雀と黒猫は、黒揚羽らと共に紗那の監視兼話し相手となった―――――




