理想を語る資格
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。
これで心置きなく戦える。3人は改めて紗那と真っ向から対峙する。
「柚さん、どうして?」
「『どうして』? それはこっちのセリフよ。いくら恩があるからって、優しいあなたが大量殺戮なんて愚行をする必要がどこにあったの?」
「それは、あの人と、あの人が示す未来のために――」
「……やっぱり間違ってる」
紗那の言い分にそう返すと、黒猫はデビルアイが発動するほど、怒りを露わにした。
「あなた、わかってるの!? その未来のために、あそこにいた大勢の人の命が犠牲になったんだよ!? まだ小さい子もいたのに、その未来さえも! そんな大切なものを奪う人に、未来や理想を語る資格なんて無い!」
黒猫の剣幕に紗那はたじろぐ。『大切なものを奪う』それを許せない気持ちは今も昔も変わらないのだ。
「まぁあんたのことやから、『自分はともかく清志郎は』とか思っとるんやろうけど、あんたにこないなことをさせてるその党首様こそ、1番資格が無いで」
「清志郎さんのことをそんな風に言わないでください! それに、柚さんならわかりますよね!? 信念や理想、目的のためには、犠牲もやむを得ないということを」
「わかってるよ。今更、ブラック・ナイトの司令代理・黒猫だった過去を捨てる気はないし、あなたの言い分も理解できる。でも、それじゃあダメなの! そんなことをしても、誰も喜ばない。寧ろ、自分自身や理想を破滅に向かわせるだけ。それをわかって紗那さん! 龍君だって、あなたが破滅することを望んでいない」
黒猫は必死に説得するが、紗那の心には響かない。
「月並みな言葉で私を惑わせないでください」
黒猫の説得を拒絶すると、紗那は手元のキーボードを操作し、部屋に仕込んだレーザーを斉射した。
「危なっ! ったく、ほんまえぇかげんにせぇよ紗那!」
紙一重でレーザーを躱した朱雀は、怒鳴ると同時にアサシネイトステルスを発動した。




