忠義と謎
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。
そうして、次から次へと来るトラップに手を焼いた3人は、なんとか突破し、目的地であるメインコンピューター室に到着した。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……あー、しつこかったぁ……なんでアサシネイトステルスしとったのに、レーザーが飛んでくんねん。ペガサス、これ故障したんちゃう?」
「それはないはずだけど――」
そう言いかけたところで、ペガサスは喋るのを止めた。
先程から自分達を苦しめていた軍師的存在が部屋にいたからである。
「ん? そうか。あのレーザーや増援は、あんたの仕業やったんか。せやったら通してくれ、紗那。頼むから、うちらの邪魔をせんとってくれ」
「それはできません。清志郎さんは私達の希望なんです。その希望を奪わせはしません!」
紗那は断固とした態度で拒んだ。
自らの命を賭しても主を守る。その覚悟が彼女の目に宿っていた。こうなっては、最早、口で言っても止まらないだろう。
「そう。だったら、力ずくで通してもらうよ」
かつて1人の人物に心酔していた者として、紗那の覚悟を誰よりも理解している黒猫は、なるべく早く決着をつけようと、彼女の元へと駆け出した。が、
「柚さん。ごめんなさい」
手元のキーボードを操作した紗那によって、壁から浮遊機雷が射出され、虚を突かれた黒猫は軽く吹き飛ばされた。
「あんなんまであるんかい!」
「迎撃態勢は万全ってわけか」
口では冷静に言ってるペガサスだが、内心では疑問が更に深まっていた。
防犯カメラだけならまだしも、レーザーに浮遊機雷なんて、一政治団体が所有できる物じゃないし、一企業の財力で買える代物でもない。この部屋のメインコンピューターにしたってそうだ。大きさや素材等からして従来のスパコンの性能を遥かに凌駕している。
(もしかして、デミ・ミュータントだらけのあの傭兵も? だとしたらこの事件は、始まりに過ぎないのか?)
言いようのない不安が押し寄せるペガサスだったが、今はそれどころではない。紗那を止めないことには、清志郎を殺すことすらできないからだ。
「ペガサス君、龍君は?」
「青龍君なら、とっくにここを抜けたみたいだよ」
それを聞いて、妻である2人はホッとした。亭主に流れ弾が当たる可能性がなくなったからだ。




