相変わらずの黒猫
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。
そうして、朱雀が今度こそ着替えに向かったのを確認してから、愛花は嫌味たっぷりの文章を打った。
『つーかぁ、体型のことはあんたも人のこと言えなくない?』
「あなたもでしょ。それに、私を雲雀さんや澪さんと一緒にしないでくれる?」
「へ? それって?」
「なら、見せてあげるよ。このエピウスに来て、1番最初に身に付けた能力を」
キョトンとする白虎に自信ありげにそう言うと、黒猫はコピー能力による肉体変化で、自身の体型を寸胴のような体からボンキュッボンなナイスバディへと変化させ、フェロモンを撒き散らした。
「はい完了。名付けるなら……そうね。セクシースタイル、かな」
性欲を掻き立てる見た目に、ペガサスの中にいる翔馬と白虎は欲情するが、ペガサスから『恋人にチクる』と言われたことで2人揃って冷静になる。
「えっと、ちなみにその能力はどこで?」
「まだ家がなかった時に泊まってたホテルの有料チャンネルで」
未来のおかげでコピー上限が30になったし、以前、奏が『人を傷つけるものより人の役に立つものにコピーした方がいい』とアドバイスしていたのを考えれば良い傾向と言えるが、だからといって、わざわざ会得するほどの能力ではない。
そんなふざけているとしか思えない無駄スキルを堂々と披露する黒猫に、全員が呆れ果てる。
「ま、アホ丸出しとしか言いようがないけど、おかげで空気も和んだわ。そこだけは褒めたる」
「雲雀――」
着替えを終えて戻ってきた嫁の声に反応した龍は、振り返ると同時に目にした朱雀の美しい姿に息を呑んだ。
エレガントさと機能性を両立させた朱神は、朱雀専用というだけあって戦闘力だけでなく、朱雀の女性らしさといった魅力も引き出されており、愛する夫はもちろん、製作者であるペガサスや玄武達も感嘆の声を上げる。
「どや? 龍」
「うん。すごく似合ってるよ」
「デザインした僕が言うのもなんだけど、予想以上だね」
「せやろ? 元がえぇからな」
上々のリアクションに、朱雀は鼻を高くする。
そうやっていい気になっていると、背後から黒猫がソッと近付き、スカートをペロンと捲った。
「でも残念。スカートの下はスパッツみたいになってるから、パンチラは期待できないね」
「って、捲んなアホッ!」
ツッコミを入れた朱雀は、スカートを手で押さえて黒猫から距離を取った。
「ねぇペガサス君。だったらなんで、私のみたいなボディスーツ型にせず、スカートなんか付けたの? 邪魔な飾りになるだけでしょ?」
「そうでもないよ。アサシネイトステルスを完全に発揮するためには、この形じゃないとダメなんだ」
事実、このスカート部分が無いと、足音や武器の存在を隠しきれない。決して伊達や酔狂でつけてるわけではないのだ。




