見えざる朱色の女神
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。
約束の午後8時前。聖民党を壊滅させる一大作戦に参加すべく、ほとんどのメンバーは待ち合わせ場所である広場に集合していた。
「ペガサス君。飛鳥さんと帝虎さんは?」
「久々に五体満足になれたから、慣れるのにもう少し時間がかかるって。大丈夫。あの2人のことだから、時間は守るはずだよ」
「それもそうね」
2人の性格を知る柚が納得して答えると、ペガサスは手をパンと叩き、
「それじゃあ、まずは恒例となってる新装備の御披露目といこうか」
と言って、1着のドレスを取り出した。
見るからに女性用であり、血や炎を連想させる朱色。この2つのワードにピッタリ合うメンバーといえば、自ずと限られてくる。
「もしかして――」
「そう。朱雀さんがずっと欲しがってた待望の特殊スーツ・朱神だよ」
3年前は頼んでも作ってくれなかった自分専用の防具。それがようやく手に入ったことに、朱雀は何度もガッツポーズをして大いに喜んだ。まだどんな機能があるかの説明もないのにである。
現に、耐久性という点でいえば、ユニコーンのスーツである青い妖精並しかない。防御力の底上げを望んでいた朱雀からすれば、そこは残念なところだろう。
その代わり、このスーツには他の3つにはない独自の特殊機能が備わっている。
その名もアサシネイトステルス。ただのステルスと侮るなかれ。赤外線等といったセンサーやレーダー類だけでなく、音、重力、熱感知、さらには視覚からも探知されなくなる優れものだ。しかも、自身の体だけでなく、装備も透明化の対象に含まれているため、ひと度発動してしまえば、誰からも存在を気付かれることなく、皆殺しにすることも可能となる。
ペガサスは天国の技術を駆使して、3年前から製作に取り組んでいたのだが、ブラック・ナイトとの決戦までに間に合わず、このタイミングでの完成となってしまった。
「おおきに。必ず使いこなしたるわ」
「そうしてもらわないと困るよ。さ、着替えてきて」
ペガサスに促された朱雀は、彼から朱神を受け取ると、バリケード要員として獅子と朋美を連れて、物陰に移動した。
その仰々しさに、黒猫はやれやれといった感じで肩を竦める。
「そこまでする必要あるかな? 着替えなんて見られたところで減るもんじゃないし、そもそも雲雀さんの色気も何もない幼児体型なんか誰も見たくないし」
「じゃかあしぃ淫乱猫! あんたと一緒にすんな! ってか、『誰も見たくない』ってどういう意味やっ!」
黒猫の失礼発言を遠くから耳にした朱雀は噛みつくが、朋美と獅子によって押し鎮められた。このまま怒りに任せて怒鳴り込んでいったら、半裸で男共の前に出ることになるからだ。




