戦士集う
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。
となれば、やることは1つしかない。
「そこでペガサスさんと相談して、今夜、彼を殺しにいくことになりました」
「とはいえ、現役の殺人者である僕やキララさんと違って、君達には君達の人生がある。だから強制はしない。それでも行きたいって人は手を挙げて」
ペガサスが挙手を求めると、大牙とフローラとルドルフと雲雀と澪は迷わず手を挙げた。
ただし大牙は、透美から殺人をしないという条件付きであり、澪に至っては、子供の面倒もあるということで雲雀に止められたが。
「いいの? 雲雀さん。せっかくカタギになれたのに」
「かまへん。自分の手ぇは汚さんくせに、紗那をえぇように使った落とし前、つけさせたる! それに、うちもあいつのこと、ほっとかれへんしな」
雲雀も同じ捨て子。紗那を止めたいという気持ちは龍と同じなのだ。
ただ、希望者は彼女達だけではない。
「わしも行こう。人手は多い方がいいじゃろうし、飛鳥殿をお守りせねばならん」
「帝虎さん。あざっす!」
「その心配はいらないわ帝虎。私も行くから」
思いもよらない人物の申し出を耳にして、帝虎達は一斉に飛鳥の方を向く。全盲かつ車椅子生活の彼女に何ができようか? 無理だと思った柚達は必死に制止したが、彼女も考えなしで言ってるわけではない。
「ペガサス君、と言ったかしら?」
「はい」
「時間制限付きでいいから、私の目を治してくれる?」
飛鳥からの要請に、ペガサスは『そういうことか』と納得し、頷く。
「お安いご用です。目だけでなく、その病弱な体も治療しましょう。もちろん、時間無制限で、ね」
「ありがとう。それが済んだら、私の武器も用意してくれる? 具体的なことは後で言うわ」
「仰せのままに」
ペガサスは了解すると、執事のような一礼をした。
関わらなければずっと安全なのに、わざわざ身体障害を治してまで、危険な戦いに赴こうとしている。
それは、聖民党の非道な行いが許せないからだけじゃない。年長者として若者達の未来や幸せを、守りたいという強い想いがあったからだ。
そんな飛鳥の気持ちを感じ取ったのだろう。ここで、あの少女も立ち上がった。
「シェイラさん。私も行きます」
柚だ。彼女が志願するとは思ってもみなかったシェイラ達は、考え直すよう求めた。
当然だ。柚は現在、スキャンダルの真っ只中にある。この状況で人殺しに協力すれば、また文太にロクでもないことを書かれてしまう。そうなれば、芸能界復帰どころか、社会的に抹殺されることにもなりかねない。
それでも、彼女は意思を曲げなかった。紗那達聖民党青年部のメンバーを止めることができるのは、同じように1人の人間を崇拝し、愚行を重ねてきた自分しかいないと思ったから。
「だから行かせて。お願い」
柚は懇願するように言って、頭を下げた。
賢い彼女のことだ。また迷惑をかけることは重々承知している。その上で、人生を賭ける覚悟もしているのだ。
こうなっては、反対していた側が折れるしかない。
「はぁ……んな、縋るような目で言うなよネコ。まるでこっちが悪党みてぇじゃねぇか」
「じゃあ!」
「そういうこと。果林ちゃんのことは家族に任せて、あんたはやりたいようにやりなさい。ただし! 極力殺さないようにね。マスコミへのフォローとか大変だから」
「わかりました。ありがとうございます」
マネージャーや友人、家族からの理解を得られた柚は、もう1度頭を下げて感謝を述べた。その目には必ずやり遂げるという強い決意が宿っていた。




