犯人は……
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。
聖民党は少数政党故、議会での発言力こそ小さいが、医療費や学費の無償化、消費税0%、あらゆる犯罪の厳罰化、自然と動植物の保護徹底等、掲げたマニフェストは立派だった。
これだけ見れば、利根川清志郎という男は、国や世界のことを第一に考える善人かもしれないが、実際のところはそうではない。
彼いわく、これらのマニフェストが実現した社会で生きていく資格があるのは聖民、つまり、聖民党の党員と支持者、それと彼らが認めた人物だけであり、残りの者は愚民と位置付け、1人残らず抹殺する。それが、彼らがやろうとしている全人類聖民化計画の全容だ。
その聖民と認められる基準も個人の一存で決められているらしく、光一郎の調査によると、青山一家とペガサスは聖民と認められているが、ザ・俗物である宙や美夜を含めた他の面々は、今のところ認められていないのだそうだ。
そんな選民思想の塊のような男の手足となって動いているのが、聖民党青年部といわれる13~18歳の男女で構成された部署である。彼らは、清志郎の野望を叶えるために暗躍する、いわば実行部隊であり、懐刀でもある。
「今回の爆弾は、直前にハウリング音がしたところから察するに、あれがトリガーだったようです。その犯人なら、既に目星はついています」
そう言ってスマホを操作した光一郎は、先程の中継映像を録画したものをテレビに映し、一時停止してある一点を拡大した。
「W・Sの会長であり聖民党の後援会会長、榊原真。彼の犯行です」
「じゃあ、この人が前回も?」
澪の問いに、光一郎は首を横に振った。
「いえ。彼はその時、島の南地区の路上でストリートライブをやっていました。あまりの騒音で近隣住民とトラブルになっていたので、アリバイは確かかと」
「じゃあ、いったい誰が?」
「実は、彼がテロを起こしたあの現場には、さっき話した青年部の部長もいました。榊原真のサポートと、爆弾が不発だった時に予備の爆弾を起爆させる役目として。その人物が、首相を殺したテロ事件の実行犯です」
「それって?」
未来が尋ねると、光一郎は一旦、中継映像のズームを元に戻し、
「この中に、青年部の部長が映っています。その人は、僕や皆さんがよく知る人物でもあります」
と言って、全員に画面を注視させた。
「うちらの?」
「えぇ。龍さんには前にも言ったと思いますが、あの爆弾はリモコンによる起爆式。それも、かなり接近してスイッチを押さなければ起爆しない。つまり、前回はこの近辺にいたのに、今回はここにおらず、尚且つ僕らがよく知る人物……それは、ジャーナリストである毒島文太さんか――」
そう言うと光一郎は、再び画面を拡大し、青年部の部長の顔をアップにした。
「――彼女、下垣紗那しかいない」
明らかとなった実行犯の正体に、全員が愕然とする。




